ジブリ「君たちはどう生きるか」鏡開きに澤姫 宇都宮の井上清吉商店が醸造 SNSで話題、社長「作り手に励み」

井上清吉商店の店頭に置かれた「澤姫」の酒樽

 8月14日にスタジオジブリの公式X(旧ツイッター)に投稿された写真に、栃木県民らから注目が集まっている。投稿の内容は、映画「君たちはどう生きるか」の公開に際して行われた鏡開きの一幕。「宮崎さんと鈴木さんが気合いれすぎて、久石さんと米津さんの服がお酒まみれになりました。(原文ママ)」という一文とともに、宮崎駿(みやざきはやお)監督らが小槌(こづち)を酒樽(さかだる)に振り下ろす瞬間の写真が掲載された。

 県民らの目に留まったのは、勢いよくしぶきが飛び散る酒樽の「澤姫」の文字。澤姫といえば、宇都宮市白沢町の「井上清吉商店」で造る地酒だ。交流サイト(SNS)上では、「澤姫だ!」「県民としてうれしい」「ビックリ」など、県民をはじめ多くの人が反応を示した。

 なぜ澤姫が鏡開きに使われたのだろうか。スタジオジブリに問い合わせたところ、「(社内行事のため)秘密です」とのことだったが、「スタッフ一同でおいしくいただきました」と県民にとってはうれしい返答があった。

 井上清吉商店にも問い合わせてみた。井上裕史(いのうえひろし)社長(49)によると、代理店を通しての注文だったため、酒樽がどこに届けられたのかは分かっていなかった。後日、映画の主題歌を担当した歌手米津玄師(よねづけんし)さんのファンが来店したことをきっかけに、澤姫が今回の鏡開きで使用されたことを知ったという。

 映画を見に行き、主題歌のCDも購入したという井上社長。「めでたい場面でうちのお酒を使ってもらえてうれしい限り。光栄で、作り手の励みにもなる。映画や主題歌がさらにヒットすることを願っています」と話していた。

 

 ◆メモ

 井上清吉商店は1868年創業。宇都宮市白沢町に酒蔵とアンテナショップを構える。

 「澤姫」は栃木県産の米や水などにこだわり、地元の蔵人によって造られる日本酒。世界最大級のワイン品評会「インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)2022」の日本酒を評価するSAKE部門で、最高賞を受賞した。

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