なつぽい「最強計画」の進ちょくは?「前の自分とは別人のよう」安納サオリ、中野たむを意識

女子プロレス・スターダムの後楽園ホール大会が9日に行われ、〝妖精〟なつぽいは水森由菜と組み、鹿島沙希&朱里組と対戦。8分28秒、鹿島の起死回生で水森が3カウントを許して敗れた。出場中のシングルリーグ戦「5☆STAR GP」では現在4勝1敗1分けの勝ち点9。レッドスターズブロックで好位置をキープする中、掲げる「最強」の意味、ブロック残り3試合に向けた思いを聞いた。

若手の水森を引き連れ、キャリア十分の相手との試合。朱里の空手仕込みのキックに苦しみながらも、狙いを鹿島に定めて応戦。水森がスピアー、ラリアートで追い込んだが、朱里の援護を受けた鹿島の丸め込みで3カウントを許した。

現在、「最強」を掲げて「5☆STAR GP」に出場中。朱里との引き分けを挟み、スターライト・キッド、鈴季すず、岩谷麻優、上谷沙弥(不戦勝)を相手に4連勝と好スタートを切った。前戦の8・27敦賀大会では刀羅ナツコに初黒星を喫した。

「ナツコぽいには負けてしまったけれど最強計画は止まっていない。1試合ごとにいろんな最強を感じていて、最強を掲げる前の自分とは別人のよう。自信がついたのが一番変わったところです。負けたらどうしよう、とは1ミリも考えなくなった。強い打撃を受けても、スープレックスを受けても、自分の足で立ち上がろうと決めています。練習でも以前が8だったら10やろうとか、ストイックに追い込めるようになりました」

7・2横浜大会の安納サオリ、7・16仙台女子大会(後楽園)の橋本千紘との一騎打ちから続く一連の最強計画。肉体面でも大きくなった、と周囲に言われるようになったという。子役から芸能活動を続けな中でプロレスに出会ったルーツを起点に、最強を求める理由を説明した。

「私の一番の夢は女優でした。キラキラした世界、何かを届ける芝居が好きでプロレスにも入ったんですけど、体が小さいので強さよりスター性、華やかさを求めて、見た目や入場に命を懸けていました。でも、スターになるためには、〝妖精〟と見られるためにも、華やかさだけでなくて強さも必要で、スター性に強さを兼ね備えたいと思うようになりました」

2015年にデビューしたアクトレスガールズでともに看板選手となった安納サオリが今年4月、6年以上ぶりにスターダムに参戦。意識に変化が起こったという。

「一番のきっかけはサオリがスターダムに来たことです。その瞬間からこのままじゃ駄目だって思い始めた。やっぱりサオリが私のプロレス人生で、他にいないぐらい一番ライバルだと思っていて、本当に負けたくない。遠くにいるときは見ないようにもできたんですけど、もう見ざるを得ないというか、サオリが来てしまったら、いろいろ思い出して、他の人にはわき起こらない感情がいっぱい出てきました。サオリはカッコつけで実際強いし、華やかさもある。何もかもが負けたくなかった。強さではない、と言っていたのは自分の中でちょっと逃げだったのかなって思ったんです」

手を革ひもで結ぶ異例のストラップマッチとして行われた安納との一騎打ち。敗れ、強さへの思いは決定的となった。その一方、タッグを組み8・13大阪大会ではゴッデス・オブ・スターダム王座を奪取。9・3広島大会では初防衛を果たした。ライバル心と信頼が交錯する関係性が、なつぽいとともに安納もさらなる高みに導きそうだ。

今後は9・16大会で葉月戦、9・18山口大会で壮麗亜美戦、最終日の9・30横浜大会で中野たむ戦が控える。「サオリに負けないため、本当のスーパースターになるためにも、強さが必要。自分のこの元気の良さ、負けない気持ちを皆に認められるようになりたい。残り3試合。最強を掲げる以上、もう1敗もできない」と誓った。最も意識するのは最終日の中野たむ戦。昨年6月のケージマッチなど以来となる大一番に向け「久々のシングルなので絶対に勝ちたい。その気持ちが今、一番盛り上がっています」と前を向いた。

(よろず~ニュース・山本 鋼平)

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