予選2番手のトヨタ8号車ハートレー「少し感触が変わった。可夢偉には脱帽」/WEC富士

 9月9日(土)、富士スピードウェイでWEC世界耐久選手権第6戦富士6時間レースの予選が行われ、TOYOTA GAZOO Racing(TGR)の7号車GR010ハイブリッド7号車を駆る小林可夢偉がポールポジションを獲得。ブレンドン・ハートレーの8号車が2番手で続き、TGRは明日の決勝を最前列に並んでスタートすることとなった。

 可夢偉は富士スピードウェイでのハイパーカーによる新たなコースレコードとなる1分27秒794を記録。TGRにとって今シーズン4度目、“ホーム”富士では6度目のポールポジションとなる。

 このポールポジション獲得により、TGRはチャンピオン争いにおいて貴重な1ポイントを追加。マニュファクチャラーズ部門では2位のフェラーリとの差を27ポイントに拡げるとともに、ドライバーズ部門では7号車は首位8号車との差を22ポイントに縮めた。

 15時30分から15分間で行われたハイパーカークラスの予選セッションでは、ほぼ乾いた路面でアタックが開始され、2台のGR010ハイブリッドはともにタイヤを温めるために4周を費やした。

 可夢偉は最初のアタックラップで、ハイパーカーとしては初めて1分27秒台に入れるという圧倒的なコースレコードタイムを叩き出しトップへ。ハートレーも続いてアタックに入り、2番手に浮上した。

 ふたりは更なるタイムアップを目指しアタックを続けたが、セッション後半には弱い雨が降り始めて来たこともあり、2台はチェッカーまで数分を残してピットへ戻った。その後はコンディション変化もあり、ライバル勢もタイム更新はなく、TGRは予選ワン・ツーで母国レースでの最前列グリッド独占を達成することとなった。

 TGRから第6戦の予選に挑んだふたりのドライバーのコメントは、以下のとおりだ。

■小林可夢偉(チーム代表兼7号車ドライバー)

「母国レースで今日のこの予選結果を得ることができて最高です。我々にとってとても重要な週末であり、このような形で我々のパフォーマンスを示すことができたことは本当に格別です」

「残念ながら天候には恵まれず、ドライでは非常に限られた周回しかできませんでしたが、チームは素晴らしい仕事で予選に挑み、私自身も最初のアタックでとても良い走りができました。GR010ハイブリッドは練習走行時よりも大きく進化し、速くなっています。このようなラップタイムが出せるとは予想していませんでしたし、タイムを見たときには少し驚きました」

「今日これだけの速さが見せられたというのは明日の決勝レースへ向けても良い兆候ではありますが、決勝は簡単にはいかないでしょう。ドライでのレースになると予想していますが、暑くなりそうなので、正しいタイヤ選択が重要になりますし、いつもと同様、幸運も必要です。準備はできています。全力で戦い、1-2フィニッシュできることを願っています」

■ブレンドン・ハートレー(8号車)

「チームにとってとても良い予選結果になった。私自身は、クルマのバランスにおいて完全に満足しているわけではなく、最後の練習走行ではもっと好感触だったが、予選時には少し感触が変わり、やや苦戦した」

「とはいえ、それでも2番手につけられたので、我々のパフォーマンスの高さは示せたと思う。予選セッション終盤には雨が降ってきて、アタックラップ中にもフロントガラスに水滴がつき始めていた。ハイパーカーでの予選はいつも激戦だが、今日のこのような雨が降ったり止んだりと難しい状況は全車同じだし、コンディションやコース上の走行ポジションを見出すのも挑戦だ」

「可夢偉は信じられないようなアタックだった。彼には脱帽だ。2台のGR010ハイブリッド最前列グリッドからスタートできるのは最高だし、あとは優勝を目指すだけだ」

WEC第6戦富士のポールポジションを獲得した7号車陣営。左からマイク・コンウェイ、アタックした小林可夢偉、ホセ・マリア・ロペス

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