2024年問題で青森県知事と運送業者が対話集会

2024年問題について、宮下知事(左)と意見交換する運送業者

 トラック運転手の残業規制強化に伴う人手不足で物流の停滞が懸念される「2024年問題」を巡り、宮下宗一郎知事と青森県内運送業者が9日、青森市で意見交換した。運送業者は、経営維持や人手確保に向けた荷主側との運賃値上げ交渉に苦労している現状や、長距離輸送で運転手の拘束時間を規制の範囲内に収める難しさを挙げ「複合的な課題の解決が必要」と訴えた。

 県が同日、青森市の県トラック協会研修センターで開いた県民対話集会に県内12社の代表が参加した。

 参加者によると、1990年の規制緩和以降、トラック運送業界への新規参入が増えて過当競争となり運賃が下落。荷主より弱い立場の運送業者が、荷物の積み込みなど本来の業務ではない仕事を無償で行うケースが増えたという。

 県トラック協会の森山慶一会長は「運賃交渉の話さえ聞いてくれない荷主もいる。荷主側には『安ければいい』という考えがあり、安い運賃を提示する業者もいる」と説明。2024年問題を以前からの慣習を変える契機と捉え、行政側の指導の強化を求めた。

 一方、「運賃交渉に応じない荷主との仕事はやめた。事業継続のための値上げに理解を示してくれる荷主もいる」など、取引の見直しを積極的に進めている業者からの発言もあった。

 運転手1人が働ける時間が短くなり新たな人手が確保できなければ、首都圏への長距離輸送などで運行回数が減る可能性がある。八戸市の「ツーワン輸送」の葛西亜貴夫代表は残業上限を年960時間とする規制強化には賛同した上で、1日当たりの最大拘束時間を現行より1時間短い15時間とするルールについては見直しを主張。「全国一律ではなく、距離的なハンディがある青森、九州、四国、北海道は従来通りにしてほしい」と語った。

 宮下知事は集会後の取材に「県自身が動かなければならない課題が見えてきた。政策に取りまとめて予算に盛り込むとともに、来年度の(県庁の)機構改革の中でもこのテーマに取り組みたい」と話した。

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