W杯からの進化示した日本代表が敵地でドイツに4発完勝! 伊東純也の1G1Aに途中出場の久保が圧巻2アシスト【国際親善試合】

[写真:Getty Images]

日本代表は9日、フォルクスワーゲン・アレーナで行われた国際親善試合でドイツ代表と対戦し、4-1で完勝した。

3月、6月と国内で試合を重ねた中、6月はエルサルバドル代表、ペルー代表と連勝を収めた森保ジャパン。今回のインターナショナルマッチウィークでは森保一監督の第二次政権初の国外での一戦となった中、カタール・ワールドカップ(W杯)で2-1の勝利を収めたドイツと約10カ月ぶりの再戦となった。

注目のスタメンはGKに大迫敬介、4バックは右から菅原由勢、板倉滉、冨安健洋、伊藤洋輝。中盤は遠藤航と守田英正の2セントラルMFに、2列目は右から伊東純也、鎌田大地、三笘薫。1トップに上田綺世が入った。

一方、カタールW杯で2大会連続のグループステージ敗退という屈辱を味わったドイツは、直近のフレンドリーマッチでも1分け3敗の4戦未勝利と低迷。来年に自国開催のユーロ2024を控える中でフリック監督更迭の可能性も盛んに報じられる厳しい状況。

12日に控えるフランス代表戦を含め、指揮官の進退が懸かる重要な一戦では負傷離脱のムシアラなど一部主力を除き現状のベストメンバーを起用。GKにテア・シュテーゲン、4バックに右からキミッヒ、ジューレ、リュディガー、シュロッターベック。2セントラルMFにジャンとギュンドアン。2列目は右からサネ、ヴィルツ、ニャブリ、1トップにハヴァーツが入った。

試合は共に[4-2-3-1]の布陣で臨み、前線からプレスをかけ合うアグレッシブな立ち上がりに。開始直後に高い位置でのボール奪取から三笘が前向きに仕掛けるシーンを作った日本だが、以降はややボールを持たれる展開となる。それでも、9分には菅原の右CKの流れから遠藤がファーストシュートを放った。

すると、直後の11分には左サイドでの三笘の仕掛けを起点にセカンドボールを高い位置で回収した冨安が絶妙なワンタッチパスを右サイドへ展開。鎌田を経由したボールがタッチライン際の菅原に渡ると、鋭い縦への仕掛けからGKとディフェンスラインの間に正確なクロスを供給。ニアに飛び込んだ伊東がDFリュディガーの前に入って右足ワンタッチでコースを変えてニアサイドに流し込んだ。

菅原と伊東の右サイドの見事な連携によって敵地で先制に成功した日本。しかし、ビハインドを背負ったことで一気にギアを上げたホームチームの反撃に遭う。

19分、左サイドの高い位置でボールを持ったシュロッターベックにライン間のギュンドアンへパスを通されると、空いたバイタルエリアのヴィルツを経由したボールがボックス右でフリーのサネに繋がる。これを丁寧な左足のコントロールシュートでゴール左隅へ流し込まれた。

一瞬の隙を突かれてスコアをタイに戻された日本だが、こちらも素早いリアクションを示す。22分、冨安が正確な対角フィードを右サイドの伊東に通すと、鎌田を経由して再び大外の菅原に良い形でボールが繋がる。そして、グラウンダーのクロスをニアの伊東がワンタッチでゴール前に流すと、上田が見事な反応からの左足ワンタッチシュートをゴール右隅へ流し込んだ。

カタールW杯と同様に2-1のスコアとした日本は追いつかれた反省を生かしてここからうまくゲームをコントロール。前からボールを奪いに来る相手を冷静なビルドアップでいなすと、左サイドの三笘を起点に引っくり返すシーンを作り出す。

また、守備の局面では右サイドのサネの対応に手を焼いたものの、遠藤、守田の2セントラルMFを中心にしっかりとフィルターをかけながら、ディフェンスラインのところでしっかりと撥ね返す。

前半終盤にかけても敵地で優位に試合を進める日本は3点目にも迫る。41分、シュロッターベックからリュディガーへの横パスがずれたところにプレッシャーをかけた上田がボールを奪い切って相手ボックス内まで一気に侵入。だが、名手テア・シュテーゲン相手に一対一のチャンスを決め切れない。

すると、チャンスの後にはピンチあり。44分、ロングカウンターで一気に局面を変えられると、ヴィルツのスルーパスに抜け出したサネに独走を許す。だが、ここは良いポジショニングを取ったGK大迫と決死の戻りを見せたDF冨安の身体を張った好守によって事なきを得た。

内容も伴った2-1のスコアで試合を折り返した日本は後半も同じ11人でスタート。だが、三笘を左ウイングバックに下げて[5-4-1]の布陣に変更した。

立ち上がりは引き続き前線からアグレッシブなプレスを仕掛けると、相手のビルドアップのミスを突いて伊東が際どいミドルシュートを放つ。さらに、48分には背後を狙った伊東からのラストパスに反応した上田がボックス内でGKと一対一に。うまく間合いを潰されてしまうが、こぼれに反応した守田がすかさずシュートに持ち込む。だが、これはDFに触られて開始早々の追加点とはならず。

その後は全体の重心が下がって自陣に押し込まれる状況が続くと、59分には鎌田と上田を下げて浅野拓磨、谷口彰悟を同時投入。これで浅野が最前線、谷口がセンターバック3枚の中央に入る。そして、左サイドの伊藤洋と三笘がそれぞれポジションを上げた。

後半序盤の守勢をきっちり耐え抜いた日本は徐々に狙いとするロングカウンターを繰り出し、攻めあぐねるドイツを尻目にフィニッシュまで繋げていく。70分には左サイドで完璧に背後を取った浅野の抜け出しからビッグチャンスが訪れるが、逆サイドでフリーの伊東を使わずに強引にフィニッシュに持ち込んだボーフムFWのシュートはGKテア・シュテーゲンに阻まれた。

その後、ミュラーやブラントら異なる特徴を持つ攻撃的なカードを切って前がかるドイツに対して、うまく試合をコントロールし続ける日本。森保監督は75分を過ぎて伊東、守田、菅原、三笘らサイドプレーヤーを中心に疲労が出てきた選手を下げて、久保建英、田中碧、橋岡大樹、堂安律を続けてピッチに送り出す。

すると、この交代策が敵地での快勝に導く完璧な勝負手となった。90分、高い位置でゴセンスにプレッシャーをかけた久保が完璧にボールを奪い切ってカウンターを発動。そのままボックス付近までドリブルで運んだ久保はGKテア・シュテーゲンをギリギリまで引き付けて、左を並走する浅野にプレゼントパス。この試合2度目の決定機となった浅野は無人のゴールへシュートを難なく流し込む。

この3点目で勝利を大きく引き寄せたものの、攻めることをやめない日本は直後の92分には右サイド深くで仕掛けた久保が絶妙な左足クロスを供給。これをゴール前に入り込んだ田中がピッチに叩きつけるヘディングで合わせ、ゴール左隅に流し込んだ。

そして、W杯のリベンジを図ったドイツを敵地で完膚なきまでに叩きのめした日本がW杯からの進化を感じさせる完勝を収めた。なお、欧州遠征初戦を勝利で飾った森保ジャパンは、12日にトルコ代表と対戦する。

日本代表 4-1 ドイツ代表

【日本】

伊東純也(前11)

上田綺世(前22)

浅野拓磨(後45)

田中碧(後47)

【ドイツ】

サネ(前19)

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