首位快走の阪神とオリックス 実現なるか、59年ぶりの日本シリーズ「関西ダービー」 ともに阪神電鉄沿線

2位広島との直接対決で快勝し、「アレ」へのマジックナンバーは7に。阪神ファンは7連勝の歓喜に浸った=9日午後、甲子園球場(撮影・山口 登)

 プロ野球セ・リーグの阪神タイガースとパ・リーグのオリックス・バファローズが、優勝に向けて首位を快走している。ともに進出が確実視されるクライマックスシリーズ(CS)を突破すると、日本シリーズで「関西対決」が実現する。1950年に始まったシリーズの歴史で、関西の球団同士が顔を合わせたのは64年の1回だけだが、その時は東京五輪と日程が重なり「脇役」の扱いに。59年ぶりとなる関西ダービーとなれば、今度こそ、関西の野球熱の高さを見せつけることができるかもしれない。

### ■南海、阪急、近鉄

 セ、パ2リーグ分立に伴い始まった日本シリーズ。80年代に入るまでは関西のパ・リーグ球団が席巻していた。鶴岡一人監督率いる南海に、西本幸雄監督が育てた阪急、近鉄という今はなき3球団が覇を競った。

 一方のセ・リーグは、50年代初頭に松竹が吸収合併されて以降、関西に本拠地を置くのは阪神のみに。V9など巨人1強の時代が長く続き、阪神が64年にリーグ優勝し、南海と対戦した「御堂筋シリーズ」が、現在までの唯一の関西対決となっている。

### ■御堂筋シリーズ

 だが、日本一が決まった試合の観客数、1万5千人余り-。ようやく実現した日本シリーズでの関西対決だが、球場で見届けたファンはそう多くなかった。

 主な理由は、この年の一大イベント、東京五輪にある。五輪開幕前に全日程を終えようと、プロ野球は例年より早いペースで試合を組んだものの、セの優勝決定がずれ込み、日本シリーズも予定より遅れて始まった。

 阪神、南海とも互いに譲らず、降雨順延も重なったため、最終第7戦が五輪開会式と同じ10月10日にバッティング。南海は、スタンカ投手が第6戦に続く完封勝利を挙げて日本一を決めたが、翌日の各紙は五輪一色で、完全に注目を奪われてしまった。

### ■低迷、身売り、合併

 80年代以降は、関西球団の低迷が顕著になる。

 パは西武の黄金期が続く一方、南海の身売り、近鉄の合併などで本拠地を置くのはオリックス1球団に。セの阪神も85年の日本一以降、長い暗黒時代に突入し、2000年代に入るまでリーグ優勝から遠ざかった。

 07年からはセ、パ両リーグでCSが導入された。シーズンで3位までに入れば日本シリーズに進出できる可能性が生まれ、昨季、阪神とオリックスが、CSのファイナルステージに初めてそろい踏みした。

### ■沿線に本拠地

 18年ぶりのリーグ優勝に向け、阪神は8月16日にマジックナンバー29が点灯。一時消滅したが、再点灯したマジックは「7」になった。リーグ3連覇、2年連続日本一を目指すオリックスは8月26日に優勝マジック24が点灯し、「12」まで減った(マジックはいずれも9月9日現在)。

 阪神は甲子園駅、オリックスはドーム前駅という阪神電鉄の沿線に本拠地を置く両チーム。59年前の「御堂筋シリーズ」に倣えば、「なんば線シリーズ」とも呼べる関西対決の実現は、果たして…。(小川 晶、大原篤也)

     ◇     ◇ 【プロ野球ポストシーズン】 クライマックスシリーズ(CS)はセ、パ両リーグともにファーストステージ(3試合制)が10月14日に開幕し、レギュラーシーズン2位と3位が戦う(球場は2位の本拠地)。勝者は同18日からのファイナルステージ(6試合制)でリーグ優勝チームと対戦(優勝チームに1勝のアドバンテージ、球場は優勝チームの本拠地)。セ、パの勝者が同28日に開幕する日本シリーズ(4戦先勝)に進出する。

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