3年生、夏物語2023 アーチェリー女子 満身創痍で国体連覇を目指す渡辺芽吹(大分東明3年) 【大分県】

アーチェリー少年女子の渡辺芽吹は、満身創痍(そうい)で鹿児島国体に臨む。7月の全九州体育大会で両肩を痛めて、8月の全国高校総体では本来の力を発揮できなかった。上位入賞が期待されていたが個人戦は42位、団体戦では準々決勝で敗退した。渡辺は「最悪な結果だった。団体戦では私が先頭を切って引っ張らなければいけなかったのに、完全に足を引っ張った。情けない」と落胆した。

小学5年から祖父の指導でアーチェリーを始めた渡辺は、「本数を重ねなければ上達しない」と練習に励んだ。負けず嫌いが故に誰よりも練習した。その甲斐あって全国大会の常連となり、今年5月には自己最高の653点を記録、これは今夏の全国高校総体の個人優勝を上回る。否が応にも日本一の期待が膨らんだが、練習過多による慢性的な肩痛は限界を超えていた。「昨年の秋から痛みと付き合ってきたが、全国高校総体前は矢を放つことさえできなかった」(渡辺)。

両肩痛をこらえ国体九州ブロックに臨んだ

全国高校総体の出場も危ぶまれたが、気力で乗り越えた。その後の国体九州ブロックでは制限時間内に6射できない場面もあったが、チームメートの力もあり1位通過で本大会の出場権を勝ち取った。「頼りになる後輩のおかげ。これまで迷惑をかけた分、国体までにコンディションを整えて、ベストを尽くしたい」とリベンジを誓う。

鹿児島国体では連覇がかかる。団体メンバーは前大会、全国高校総体と同じ。年下の沢田こころ(大分東明1年)と石井美羽(同)と組む。渡辺は「昨年は何も分からず勢いで一気に頂点まで駆け上がった感じ。今年は日本一を狙って優勝したい。予選は技術だが、決勝トーナメントはメンタル勝負になる。この1年間、辛い思いをして乗り越えた自分はメンタルでは誰にも負けない。高校3年間の集大成として結果にこだわりたい。最後まで諦めない」と強い思いを語った。

同じメンバーで国体連覇を目指す(左から石井、渡辺、沢田)

(柚野真也)

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