【台風13号】瞬く間、土砂に埋まる 国道461号で車立ち往生

山からあふれた土砂で覆われた国道461号。身動きの取れなくなった車両救出など復旧作業が進められた(画像の一部を加工しています)=9日午前11時31分、高萩市中戸川

最も警戒レベルが高い「緊急安全確保」が8日夜に発令された茨城県高萩市中戸川の国道461号では、発令直前の午後6時半ごろに道路冠水が多発。さらに山側から土砂が流れ込み、交通が寸断された。

常陸太田市から日立市の自宅へ帰宅中だった男性(50)の乗用車は、Uターン直前で道路に勢いよく流れ込んだ土砂にタイヤが埋まり、立ち往生を余儀なくされた。

男性によると、当時は前方道路が冠水し、前に進めなくなったが、すぐ後ろにも3~4台の車が続いていたため、すぐに方向転換できず数分が経過。男性がハンドルを切ろうとしたところ、ミラー越しに「泥水や流木が、川のような勢いで後ろから迫ってくるのが見えた」。車のタイヤは瞬く間に泥で埋まり、男性の車両は身動きが取れなくなった。

当時は市内各地で消防車両が出動していたため、男性は同10時ごろまで車内で待機。反対車線を通りかかった車に乗せてもらって現場を離れることができたという。

現場では、男性の乗用車以外に軽乗用車などが泥に埋まり動けなくなり、9日午前11時半ごろには、重機やスコップによる救出作業が進められた。

男性は「誰も来なかったら大変だった。まさか被害に遭うとは思わなかった」と話した。

◆台風13号県内ドキュメント
【8日】
10時   常陸太田市が県内自治体に先駆け、市内全域に高齢者等避難を発令
10時15分 水戸地方気象台が県内21市町村に最初の大雨警報を発令
15時 9分 気象庁が記録的短時間大雨情報を発表。その後も同日中に7回発表
17時39分 気象庁が県北・県南地域に線状降水帯が発生したとする「顕著な大雨に関する情報」を発表
18時15分 日立市の1時間降水量が観測史上最多の93ミリを記録
18時28分 日立市の常磐道上りのトンネル付近で土砂崩れが発生し通行止め
20時   高萩市で関根川が越水
20時35分 北茨城市で大北川が計画高水位を超える
20時50分 気象庁が県北地域に2度目の線状降水帯の発生を発表
22時   県が災害対策本部を設置

【9日】
1時25分  日立市の常磐道下りトンネル付近で土砂崩れが発生し通行止め
5時20分  県が陸上自衛隊に対し日立市への派遣要請
6時49分  県内6市で約3450軒が停電
10時ごろ 北茨城市で20代男性が心肺停止で発見。搬送先の病院で死亡を確認
16時21分 県内の大雨警報が全て解除され、注意報に
17時   常磐道上りの通行止めが解除

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