種はどこから?「ど根性メロン」実る アスファルトの隙間からすくすく、直径10センチ玉 兵庫・加西

アスファルトから芽を出し実を付けたプリンスメロン=加西市網引町

 兵庫県加西市網引町にあるカラオケ喫茶「愛歌」の敷地内で、プリンスメロンがアスファルトの隙間から芽を出し、実を付けた。約10センチまで大きくなり、常連客は「ど根性メロン」と目を細める。店主の藤原幸子さん(72)は、熟れたらお客さんに出す予定で「元気をもらってほしい」と成長を心待ちにしている。

 ことの始まりは7月中旬。同店の常連客松土正太さん(85)が、自分で育てたプリンスメロンを喫茶店に差し入れ、仲間と食べた。同月末、藤原さんが、花壇のブロックとアスファルトの間に芽が出ているのに気が付いた。

 メロンはその後、今夏の猛暑をものともせず、ツルを伸ばして葉を付けた。8月末、松土さんの妻恵子さん(82)が、実が付いているのを見つけた。

 今ではツルが約1.5メートルまで育った。直径1センチほどの小さな実が2、3個付き、花も咲いている。1カ月半で急成長したメロンに、カラオケ客たちは「すごい生命力」と感心しきり。

 「皮や種を捨てる時に、種が落ちて芽が出たのでは」と藤原さん。店周辺には、他にも四つの苗がアスファルトの間から芽をのぞかせているという。

 県加西農業改良普及センターの野菜担当普及指導員は「いろいろな偶然が重なり環境に恵まれた。夏で気温も高いので生育が早くなったのでは」と推測している。(敏蔭潤子)

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