【台風13号】冠水 生活響く 住宅停電、不安な夜 茨城・高萩の関根川氾濫 短時間で水位上昇

自宅が浸水し、水に漬かった畳を運び出す男性=9日午前8時45分、高萩市下手綱

関根川が氾濫した茨城県高萩市は、8日夜から9日明け方にかけて住宅浸水や道路冠水に見舞われた。越水後は短時間で水位が急激に上昇。床上1メートルを超える浸水に、停電した世帯もあり、避難した住民たちは不安な夜を過ごした。

同市の関根川は8日午後8時ごろに越水。急激な水位上昇に、被災した住民たちは「まさかここまでとは」と口をそろえた。

同市下手綱の大友利秀さん(66)は「一気に水位が上がった」と話した。大規模水害は約40年間経験がなく、「これくらいなら大丈夫」と油断していたという。ところが、雨の勢いと水位は予想に反して増し、2階に持ち運べたのは布団だけ。床上約1.7メートルまで水に漬かり、電気も止まった。「これからのことを考えると、眠れなかった」と振り返った。

食品スーパー「ベイシア高萩モール店」(同市下手綱)では9日朝から、従業員が泥水の掃除に追われた。同社広報によると、午後6時過ぎから駐車場に水があふれ始め、同8時には店内へ水が入り込んできた。浸水被害で、レジや冷蔵庫の再整備が必要になるという。

市立松岡小(同)も床上約60センチの浸水被害があった。9日は、周辺校を含む教職員が片付け作業に汗を流した。同校によると、消毒作業の進捗(しんちょく)や授業が実施できるかの可能性を検討した上で、11日以降の休校について可否を検討するとしている。飯沼幸則校長は「子どもの心のケアもしっかりやっていきたい」と話した。

市によると、9日午後6時現在、床上浸水は107件、床下浸水は112棟で、土砂崩れで5カ所で通行止めが発生している。

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