「自分の権利のために立ち上がることは大切」 アメリカでのストライキ体験談が話題に

アメリカでのストライキ体験談が話題に

社会に大きな波紋を起こした西武池袋本店のストライキ

近年の日本で大規模なストライキが起こるのは稀。参加したことがある人も極めて少ないようだが、SNS上では特別支援教育修士、特別支援教育教員のHanaさん(@sgwhn8727)が投稿した

「ストライキって経験したことある人そんなにいないと思うんだけど、わたしがまだ教員1年目だった2018年、オクラホマ州の公立学校の先生は年間$10,000(約140万円)の賃上げを求めてストライキをした。2週間先生たちは学校に行かなかった。学校に行かず、みんなで州議事堂へ行った。」

という体験談が大きな注目を集めている。

話題になったHanaさんの投稿

同僚教師や保護者、生徒と共に州議事堂に集まり、ストライキに参加したHanaさん。学校が休校したため働きに出られなくなった保護者たちからプレッシャーがかかった結果、2週間後に州は年間$6000(約85万円)の賃上げに合意したそうだ。

「ストライキは強引なやり方だったかも知れない。ストライキをすることで、子どもの教育の機会を先生たちが奪った、とも言われた。でも、先生自身のため、公教育のため、子どものため、オクラホマの未来が崩壊しないためにこれは必要だった。一生に一度これを経験できて良かったと思う」

というHanaさんの投稿に対し、SNSユーザーからは

「日本人には、ストライキ=赤 とか 左のイメージが強いし、どうしても『逆らう』『戦う』ってのが避けられない。
戦後教育の影響もあるのかと勝手に想像してる。」
「アメリカでは俳優の組合がストをしているが、日本は世界からすると信じられないくらい、ストライキが悪いことのように受け止められている。
組合の在り方が大きい。日本は企業内組合というのが諸悪の根源。アメリカの俳優組合を見るとクローズドショップみたい。」
「教員に団体交渉権があることの重要性。
残念ながら、日本では…かなり制限されてます。」

などさまざまなコメントが寄せられている。

Hanaさんにお話を聞いた。

ーー今回のそごう・西武のストライキについてどう思われますか?

Hana:働き手が雇用主に意見することは大切だと思います。特に日本では雇用主が有利な立場にあることが多く、働き手は「言われるがまま」なケースが多いので、雇用主と働き手が両者とも気持ち良くいられる環境が理想だし、実現されるべきだと思います。今の日本の最低賃金や新入社員の手取り、または有給のとり方等を考慮すると、このストライキは必要だったのかも知れません。これを機に働き手が正当に扱われるようになるべきと思います。また、そごう・西武だけでなく、これを機に日本中の会社で労働条件が見直されると良いですが。

ーーオクラホマでストライキに参加したご感想をお聞かせください。

Hana:私が参加したストライキは2週間だったのですが、その期間は毎日州議事堂に通いました。約3万人の先生が集い、音楽の先生は楽器を持って演奏していたり、コーヒー屋さんが差し入れに来ていたり、チアリーダーが来ていたりとても賑やかでした。他にも保護者や生徒、大学の教育学部の教授、定年退職した元教員たちもサポートに来ていて、コミュニティーの一体化を感じられました。結果的にこのストライキが賃上げに繋がり、更にその後も2度賃上げされたので、我々の声は州に届いたのではないでしょうか。日本でストライキに遭遇したことも、もちろん参加したことも無かったわたしは、最初は戸惑いました。でも、自分の権利のために立ち上がることは大切だということと、そしてこうやって権利を勝ち取っていくんだと肌で感じました。

ーー投稿の反響へのご感想をお聞かせください。

Hana:日本ではストライキ自体が珍しいので、驚きの声をたくさんいただきました。2018年のオクラホマの教員ストライキでは、だれも解雇されることなく、怪我人もでず、そして賃上げに繋がった成功例だと思うので、これを日本の人に読んでもらえて勇気を与えられたらいいです。

◇ ◇

海外と比較して日本のかなり主張の弱い日本の労働者。労使がより良い関係を持つためには時にぶつかり合うことも必要。少なくともストライキの機会が奪われるような社会状況にはしたくないものだ。

なお今回の話題を提供してくれたHanaさんは、日米の教育、特別支援教育、フォニックス英語学習についてSNS上で発信している。ご興味ある方は是非チェックしていただきたい。

Hanaさん関連情報

Twitterアカウント:https://twitter.com/sgwhn8727

(よろず~ニュース特約・中将タカノリ)

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