さすが…何気なく「弟が事故」と話す客、タクシー運転手が駅へ送る 嫌な予感した運転手、警官に相談 急いで警官が客を探し、駅で発見…詐欺阻止

新井智美署長(右)から感謝状を受け取った玉村義一さん(中央)=上尾署

 特殊詐欺被害を未然に防いだとして、埼玉県警上尾署は、「上尾タクシー」運転手の玉村義一さん(61)に感謝状を贈呈した。    同署や玉村さんによると、7月28日午後3時ごろ、玉村さんは上尾駅から乗車した80代男性から「弟が事故を起こして示談金が必要。蒲生駅の西口の公園で弟に100万円を渡す」などと言われた。駅が越谷市で遠方だったこともあり、不審に思った。

 男性は信じ切っていたが、蒲生駅で降車させた後も「詐欺被害者ではないかともやもやしていた」と胸につかえるものが残っていた玉村さん。駅前で警戒中だった警察官に経緯を伝え、警察官が付近を探したところ、駅構内で男性を発見し、結果的に特殊詐欺被害を未然に防いだ。

 玉村さんは日頃から「暑いから気をつけてくださいね」「どこに行かれるのですか」など何気ない会話を大切にしているという。今回も男性から「どこかお土産屋さんはありませんか」と聞かれ、「お見舞いですか」というやりとりがきっかけだった。「高齢者の方はこちらから話しかけると会話してくれる方も多いので、不審に思ったら110番をするなど警察官に伝えていきたい」と力を込めた。

 同署の新井智美署長は「お客さんとの接客の中から特殊詐欺を見抜き水際で防げた。感謝してます」と笑顔でたたえた。

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