那覇空港を走る「シンカ号」 紅型デザインで飛行機ひっぱる MROの若手社員が1週間かけ完成

 那覇空港内で航空機の整備を手掛けるMRO Japan(沖縄県那覇市、高橋隆司社長)が、紅型の塗装を施したトーイングカー「美ら島シンカ号」の運用を8月から開始した。飛行機の駐機場への移動などバックヤードで活躍する車両で、普段は一般客の目に触れる機会はほとんどないが同社の機体整備工場見学ツアーで記念撮影ができる。紅型の普及や観光客の誘致につなげることが目的。

 デザインを手掛けたのは、那覇市の加治工紅型工房の加治工摂(おさむ)さん。首里城やシーサー、ヤンバルクイナなどをモチーフに紅型の型紙を使用して図案を作成した。

 塗装はMRO Japanの10~20代の若手社員が手掛けた。濃淡の色を重ねてぼかしながら染めることで立体感を出す「隅取り」という伝統的技法をグラデーションペイントなどで再現。約1週間かけて仕上げた。

 普段は飛行機の塗装を担当する同社施設設備課の川平朋弥さんは「飛行機はシンプルなデザインが多いため、今回のような複雑なデザインを再現するのは苦労したが、仕上がりには満足している」と笑顔を見せた。同課の市川泰央課長は「見た目にユニークで楽しいというだけでなくグラデーションや複雑な色使いに挑戦することで、塗装の技術向上にもつながる」と述べた。

(普天間伊織)

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