一見普通に見える植え込み 樹木医が「この木すごい!」と興奮 その理由に「本当だ、よく見たら」の声

多くの人が通り過ぎてしまいそうな普通の植え込み。しかし、識者が見ると「この木すごい!」と反応は正反対に。その理由が「面白いですね!」「言われなければ全く分からない!」「コンパクト森林」と話題を呼んでいる。

樹木医、インタープリターとして身近な自然の魅力を発信している、瀬尾一樹さん(@kusanonamaesay)。自身のX(旧・ツイッター)に5日、都内某所で発見した植え込みの写真を投稿し、「この木すごい!」と紹介した。一見、普通の植え込みに思えるが、どこが“すごい”のか?瀬尾さんは「最初はツバキの仲間を植えてたのが、勝手に生えてきた木も諸共刈り込んでたら、最終的にキメラみたいになった感じかな。一箇所で色んな木を観察できてお得ですね」と説明した。

瀬尾さんによれば、植え込みにはツバキ類を中心にクワ、ムクノキ、クヌギ、エノキ、アキニレなどが共生。「普通の植木かと思ったらたくさんの木が混じっていて、非常に興奮し、著しく恍惚(こうこつ)を覚えました」と回想した。投稿のリプライでも「面白いですね!」「言われなければ全く分からない!」「本当だ、よく見たらいろんなの混ざってる!お得だ!」「コンパクト森林って感じでいいな」などの声であふれた。

それにしても、なぜこのような“キメラ状態”に?瀬尾さんは「元々、一本(あるいは二、三本)の苗木を植えて、四角く刈り込んで仕立てていたところに、植え枡の隙間から実生木が伸びてきて、それらを一律に刈り込んでいたらこのようになると思います」と考察した。

一方で、様々な樹木を意図的に合わせて植える「混ぜ垣」という手法もあり、リプライではそれを指摘する声もあった。しかし、瀬尾さんは「ツバキ等を除けば、高木になるものや、いわゆる雑木と呼ばれるものばかりで、混ぜ垣に使われるような樹種ではない」と指摘。それらの樹種は苗木の流通量が決して多くないものばかりだという。

加えて、周囲の環境について「小さな郵便局の植え込みで、植栽にそれほどこだわるとは考えにくい」「隣接した樹林地があり、これらの樹種が自生している」とし、この植え込みを“自然に形成されたもの”と予想。「仮に混ぜ垣だったとしても、少なくとも数種類は勝手に生えてきたものと思います」とした。

瀬尾さんは著書「やけに植物に詳しい僕の街のスキマ植物図鑑」(大和書房)でも、都会で見られる身近な植物を紹介。見過ごしがちな道ばたの植物を写真とマニアックな解説で楽しめる。

(よろず~ニュース・藤丸 紘生)

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