犬は、どうして黒目が大きいの?

こんにちは。内田友賀です。

マナーニが実施する小学校での動物介在学習では、観察の時間をとても大切にしています。それには2つの理由があります。

1つ目は、物理的に犬との距離が近づくことで双方の心の距離を自然に縮めること。よく見ようと顔を近づけることで、子どもが自らの「パーソナルスペース」に犬を招き入れるので、親近感がぐっと湧くのです。

そして2つ目は、相手に興味をもつきっかけを作ること。相手が人でも動物でも、まずは相手に興味を持つことから「好き」が始まります。「なぜだろう?」を問いかけることで、子どもたちは想像力を働かせながら相手を知ろうとするのです。

そんな時に役に立つのが、ハンドラーが犬のカラダの不思議の知識を上手に使う事。一方的に情報を与えるのではなく、子どもたちに想像させ、正解を導き出すことで子どもたちの瞳はキラキラと輝きを放ちます。

今日は、大人でも発見のある「犬の目の不思議」のお話です。

犬の目は、どうして黒目が大きいの?

犬は暗い場所でも、動く対象物を的確にとらえることができます。それは、黒目(瞳孔と虹彩)でわずかな光を吸収しているからと言われています。私たちは夜にパチっと電気を消すと、その暗さに慣れるまでに少し時間がかかってしまいますが、犬たちは黒目が大きいことで瞬時に微細な光をキャッチし、動くものを捉えられる構造になっているのです。

しかし、本当にそれだけでしょうか? 動物心理行動学の観点から見てみると、少し面白いことも分かってきます。

犬にとって「目」はどんな役割?

犬同士のコミュニケーションにおいて、犬は相手の目や目線をよく観察します。相手の意識がどこに向いているのか、どのような感情なのかを悟ろうとします。

しかし、白目があると、どうでしょう? 簡単に自分が見ている方向や泳いでいる視線がばれてしまいますよね。犬にとって目は、見ること以外に「伝える役割」も担っているのです。

意識を向けているよ!と目線で伝えることも

人間も同じですが、目は喜びや悲しみ、恐怖や愛情などの感情がとても出やすい部分です。

ですので、犬の目(視線)をよく観察していると、ボディランゲージとは裏腹の“本心”に出会えることがあります。

犬は基本的には見たい方向に鼻先を向ける動物です。しかし、意図的に自分の意思(視線)を知らせたくないときには、目だけを対象物に向けて、鼻先をあえて違う方向に向けることがあります。

(「ボク、気にしてないよ!」と体で伝えながらも視線は相手をチラ見して、とても気になっているぽん太さん)

また、飼い主さんに対しては「ボク、そっぽ向いてるけど、あなたに意識を向けてるよ!」というメッセージを、目を使って伝えることもあります。

犬の目線が、鼻先とイコールでないとき、犬たちは何かしらのメッセージを伝えているのかもしれません。

“知っているつもり”にならない。疑問を持つことの大切さ

子どもに「なんで黒目が大きいの?」と聞かれたときに「暗い場所でも見えやすいからだよ」と答えるのは簡単です(※)。

しかし、犬のカラダには、まだまだ人間が気づいていない不思議がたくさん隠れています。特に、心理学や行動学から観察してみると、構造だけではない面白い発見に出会うことがあります。

大切なのは、疑問を持つことの大切さ。そして、考えてみることの楽しさです。

子ども心を忘れずに“なぜ?”の探求をしてみると、新しい愛犬からのメッセージに気づけるかもしれません♪

Lots of love.

※人間の目とは異なり、光を感知する網膜の細胞が多く、網膜の後ろのタペタム層が光を反射するために夜目が利くとされています。

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