〔国内〕2023年8月の災害を振り返る

2023年8月に発生した国内での大規模な災害、事故・事件の案件について振り返ります。

※被害の内訳については、原則的にレスキューナウによる情報取りまとめ時のものです。それぞれの記事の最終更新日以降の状況については反映されていないことがあります。

●8月
【自然災害】台風6号が沖縄付近で迷走 7県で線状降水帯発生、期間内に1000mmを超える大雨が降ったところも
[被害]死者1人、負傷者92人
2023年7月28日にフィリピンの東で発生した台風6号は、沖縄付近の海上を東西に迷走した後、九州の西の海上を北上。8月11日未明に朝鮮半島で熱帯低気圧に変わるまで、およそ2週間にわたり日本列島に影響を及ぼした。
一時は「大型」で「非常に強い」勢力にまで発達し、台風が通過した沖縄県では猛烈な風が吹き、最大瞬間風速は那覇市で52.5m/s、南城市で50.6m/sを観測。また、台風周辺の発達した雨雲により沖縄、鹿児島、熊本、宮崎、大分、高知、愛媛の7県で線状降水帯が発生し、宮崎県美郷町では降り始めからの雨量が1000mmを超える大雨になった。沖縄、鹿児島、宮崎県内の6つの市町村に、一時警戒レベル5の緊急安全確保が発令された。
ライフラインでは沖縄県で一時21万戸を超える大規模な停電が発生。NHKの報道によると、これは2018年9月に台風24号の影響で停電の戸数が25万戸を超えた時以来、過去10年で2番目に大きい規模だった。この停電に伴い、沖縄県内の34市町村に8月1日から災害救助法が適用された。

【自然災害】台風7号が近畿縦断、東海道・山陽新幹線は3日間にわたり混乱が続く
[被害]負傷者66人
2023年8月8日に南鳥島近海で発生した台風7号は、一時非常に強い勢力にまで発達し、15日の明け方に和歌山県潮岬付近に上陸した。近畿地方を縦断した後に日本海を北上し、17日15:00に北海道の西の海上で温帯低気圧に変わった。15日朝には台風周辺の雨雲により鳥取県と岡山県で線状降水帯が発生し、鳥取市には同日16:40に大雨特別警報が発表されたほか、東日本や西日本の各地で平年の8月の月降水量の2倍を超える大雨となった。
この台風の影響で、家屋の浸水や土砂崩れ、断水、通信障害などの被害が発生した。鳥取県では道路の崩落などにより鳥取市と八頭町、三朝町で合わせて853世帯、1814人が一時孤立した状態となったほか、京都府、兵庫県、鳥取県の7つの自治体に災害救助法が適用された。
また、台風通過に伴い各地の交通にも大きな乱れが出た。台風が近畿地方を北上した15日は東海道・山陽新幹線(名古屋~岡山駅間)や関西地方を中心に計画運休が実施された。翌16日は計画運休はなかったものの、台風に流れ込む暖かく湿った空気の影響により静岡県で局地的な大雨が発生したため、東海道・山陽新幹線が一時運転を見合わせた。これにより深夜まで運行するなどダイヤが大幅に乱れ、お盆休みの帰省や行楽客の移動に大きな影響が出た。16日のダイヤ乱れの影響は17日まで続き、各駅で3日間にわたり大きな混乱が続いた。

【事故】和歌山県沖の紀伊水道で貨物船同士が衝突 1人死亡 1人が行方不明
[被害]死者1人 行方不明者1人
2023年8月24日23:40頃、和歌山県美浜町の北西沖15kmの海上で、日本船籍の貨物船「いずみ丸」(499トン)と、リベリア船籍の貨物船「CONTSHIP UNO」(9940トン)が衝突、いずみ丸が転覆した。この事故で、いずみ丸の乗組員5人全員が海に投げ出され、うち3人はCONTSHIP UNOに救助されたが、操縦室にいた可能性の高い船長と一等航海士の男性2人が行方不明となった。CONTSHIP UNOの乗組員18人にけがはなかった。
27日には和歌山県有田市の沖ノ島で男性の遺体が発見され、行方不明となった2人のうち、60代の一等航海士と判明した。一方、50代の船長については第5管区海上保安本部などによる捜索が続けられたが、現在も行方不明となっている。転覆したいずみ丸は、その後沈没が確認された。また、26日から運輸安全委員会は船舶事故調査官を派遣し、CONTSHIP UNOの乗組員など関係者に対し聞き取りを行うなど、事故原因の調査を行っている。

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