「『これだ』と思った」 飛ばして勝った神谷そらの原点

飛ばしの原点はジュニア時代にあった(撮影/中野義昌)

◇国内女子メジャー◇日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯 最終日(10日)◇パサージュ琴海アイランドGC(長崎)◇6755yd(パー72)◇晴れ(観衆4223人)

神谷そらがゴルフを始めたのは6歳の時。しばらくして、地元のゴルフスクールに通い出した。「周りにジュニアの子がいなくて、成人男性と練習場やコンペで一緒に回っていた。それに追いつこうと、小さい頃から振っていたのが今の飛距離につながっているのかな」。オトナの男性が“飛ばし”の始まりだった。

18番はパーフィニッシュ。史上6人目の大会初出場優勝を達成した(撮影/中野義昌)

中学生になって、悩み出した。飛ばせるから、その分曲がりが大きくなる。一時期は「(ティショットで)刻みたおしてた」とゴルフが小さくなった。

そんな時、テレビ中継のテレサ・ルー(台湾)のプレーに釘付けになった。「スイングがめちゃくちゃきれいで、攻撃的なプレースタイルだった。常に明るい選手ですし、ちょうど自分のゴルフに悩んでいた時期だったので、『これだな』と思った」。曲がっても、攻めればいい。そう思うようになった。

プロテスト同期の平岡瑠依(左)のお出迎えでうれし涙(撮影/中野義昌)

8年前の本大会を憧れのテレサが制したコースで、最終日も攻めた。首位と2打差3位で出て、飛距離を武器に、3つのパー5で効果的なバーディを奪った。1番は2オン2パット。9番は2打目をグリーン手前に運び、35ydのアプローチを3mにつけ、首位の小祝さくらを捕らえた。3打リードで迎えた15番は残り196ydの2打目で6Iを使い、2オンを逃したがアプローチを寄せてタップインだ。

この日最難関だった16番で唯一のボギーをたたき小祝に1打差に迫られたが、最終18番をパーで締めて逃げ切った。グリーンサイドではプロテスト同期で「お姉ちゃんみたいな存在」という平岡瑠依に迎えられ、うれし涙を流した。

将来的に米ツアー進出を見据える20歳のルーキー(撮影/中野義昌)

女子プロ日本一決定戦で、初出場優勝は昨年の川崎春花に続いて史上6人目。この勝利で3年シードも獲得した。将来的には米ツアー進出も見据える20歳は今後、「どこまで今の自分が通用するか確認したい」と、日米ツアー共催の「TOTOジャパンクラシック」(11月2日~/茨城・太平洋クラブ美野里コース)に照準を合わせる。世界の強豪に、自慢の“飛ばし”で立ち向かう。(長崎市/内山孝志朗)

小祝さくら(左)に1打差で競り勝った(撮影/中野義昌)

<本大会で初出場優勝を達成した選手>
1968年 樋口久子(静岡・天城CC)
1984年 黄ゲッキン(長野・信州伊那国際GC)
2014年 鈴木愛(兵庫・美奈木GC)
2019年 畑岡奈紗(兵庫・チェリーヒルズGC)
2022年 川崎春花(京都・城陽CC)
2023年 神谷そら(長崎・パサージュ琴海アイランドGC)

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