東日本大震災から12年半

By 大脇 桂

9月11日、東日本大震災が発生してから12年半

◆人的被害・避難者数・避難指示

・2011年3月11日、国内最大規模となるM9.0の地震が発生し、大津波により東北地方の太平洋沿岸に大きな被害をもたらした。

・警察庁によると、2023年2月末現在、死者1万5900人、行方不明者2523人、死者不明を合わせて1万8423人となり、死者数と行方不明者数に増減はなかった。(前回2022年2月末現在、死者1万5900人、行方不明者2523人、死者不明を合わせて1万8423人)。

・復興庁によると、2023年3月31日現在、震災関連死は1都9県で3794人(前回2022年3月31日現在3789人。前回比+5人)。震災関連死・直接死・行方不明者と合わせると合計2万2217人。都道府県別では、岩手県470人、宮城県931人(+1)、山形県2人、福島県2337人(+4)、茨城県42人、埼玉県1人、千葉県4人、東京都1人、神奈川県3人、長野県3人。年代別では、20歳以下10人(+1)、21歳以上65歳以下426人(+1)、66歳以上3358人(+3)だった。

・復興庁によると、2023年8月1日現在、避難者数は3万115人(-327人。前回2023年5月1日は3万442人)。県外避難は2万2365人(福島県2万704人、宮城県1096人、岩手県565人)。

◆処理水の海洋放出と海外の反応

・8月11日、2026年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議に向けた第1回準備委員会は、東京電力福島第一原発事故に伴う処理水の海洋放出について、IAEAの取り組みを支持することなどが盛り込まれた議長総括案がまとめられたが、採択されなかった。

・8月14日、東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出をめぐり、韓国のインターネットメディアが日本外務省の公電とされる文書の報道の中で、「東京電力が7月8日に実施した処理水の調査の結果、放射能濃度が基準を大幅に超えたため、処理水の希釈を加速し、安全基準を満たすことが検討されている。」と伝えた。8月14日、日本外務省は、報道の内容は、事実無根で、公電とされている文書は偽造であると発表した。

・8月22日、政府は、関係閣僚会議で処理水の海洋放出を24日に開始することを決めた。

・8月24日午後1時頃、東京電力は、政府の方針を受けて処理水の海洋放出を実施した。放出の完了には30年程度かかる見通し。

・8月24日、中国政府は、処理水の海洋放出を受けて、日本産水産物の輸入を全面的に停止すると発表した。

・8月24日、岸田首相は、中国が日本産水産物の輸入を全面的に停止したことを受け、中国側に即時撤廃を申し入れたことを明らかにした。

・8月24日、韓国・ソウルで抗議活動を行っていた市民団体の大学生16人が日本大使館に入ろうとして逮捕された。

・8月24日夕、中国の山東省青島市にある日本人学校の敷地内に石を投げ入れた中国人が拘束された。

・8月25日、中国の江蘇省蘇州市にある日本人学校に複数の卵が投げ込まれているのが見つかった。けが人などはいなかった。

・8月25日、北京の日本大使館は、在留邦人に対し、外出の際に慎重な言動を心掛けるよう注意を呼びかけた。

・8月25日、江戸川区総合文化センターの代表電話に86から始まる国際電話の着信が相次いだ。処理水の海洋放出に抗議する内容で、86は国際電話で中国本土が割り当てられている。

・8月25日、中国のSNSで、日本産の材料を使用した化粧品などの情報が拡散され、日本製品のボイコットを呼びかける投稿が相次いだ。

・8月25日、野村農林水産大臣は、記者会見で中国政府による日本産水産物の輸入の全面的な停止について「国際的な動きに逆行するもので極めて遺憾」とコメントした。

・8月25日、東京電力ホールディングスの小早川社長は、「中国などの禁輸措置で損害が出た場合は、適切に賠償する」という考えを明らかにした。

・8月26日、中国のSNSで、処理水の海洋放出は科学的に問題ないと発信した投稿が削除され、アカウントも閲覧できなくなっていることが報道などで明らかになった。

・8月27日、環境省は、処理水の海洋放出に伴い、25日朝に採取した海水の分析結果を公表した。トリチウムの濃度の検出下限値未満であり、人や環境に影響がないと発表した。

・8月28日、韓国政府は、韓国のSNSで処理水の海洋放出開始後、原発周辺の海が黄色く見えるとした画像が拡散されたことについて、放出とは関係ないと発表した。

・8月31日、処理水の海洋放出に伴う海水の調査で、海洋放出開始後はじめてトリチウムを検出した。1リットルあたり10ベクレル。東京電力は安全には問題ないとしている。

・8月31日午後、野村農林水産大臣が東京電力福島第一原発の処理水を「汚染水」と発言。その後、言い間違えだったとして謝罪し、撤回した。

・9月4日、東京電力ホールディングスは、風評や賠償などに対応する人員を1000人規模に拡大すると発表した。中国の輸入規制で被害が全国に拡大することに備えるため。

・9月8日、福島県の漁業者や住民ら約150人は、国と東京電力に海洋放出の差し止めを求める訴えを福島地裁に起こした。

◆食品

・8月8日、政府は、東京電力福島第一原発事故に伴い出荷を制限していた福島県只見町の野生マツタケについて、出荷制限を解除した。福島県内で野生キノコの出荷制限が解除されるのははじめて。

・8月15日、スイスとリヒテンシュタインは、東京電力福島第一原発事故に伴う日本産食品に対する輸入規制を撤廃した。

◆事件・事故・不祥事

・9月1日、福島県双葉警察署は、楢葉町の元職員を業務上横領の疑いで再逮捕した。元職員は産業振興課の主任主査だった2019年8月から農業団体の口座から現金を引き出し着服した疑い。

◆アーカイブ

・8月29日、復興庁は、第1期復興・創生期間にあたる10年間の記録をまとめた「東日本大震災 復興政策10年間の振り返り」を公表した。https://www.reconstruction.go.jp/topics/m23/08/20230828142731.html

◆その他

・8月14日、財務省は政府が保有する日本郵政の株式を一部売却すると発表した。売却額は約1057億円。東日本大震災の復興費用に充てる。

・9月3日、任期満了に伴う岩手県知事選挙が行われ、現職の達増拓也氏が5回目の当選を果たした。2007年から知事を務めている。

◆東日本大震災から12年5か月
https://nordot.app/1062385951016600014

◆警察庁|平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震の警察措置と被害状況(2023年3月10日)
http://www.npa.go.jp/news/other/earthquake2011/index.html

◆復興庁|震災関連死の死者数等について(令和5年3月31日現在)[令和5年6月30日公表]
https://www.reconstruction.go.jp/topics/main-cat2/sub-cat2-6/20140526131634.html

◆復興庁|避難者の数[令和5年9月8日]
http://www.reconstruction.go.jp/topics/main-cat2/sub-cat2-1/hinanshasuu.html

◆広島大学|地球資源論研究室|東日本大震災-被災地-
http://earthresources.sakura.ne.jp/er/EV_TKJ(4).html

※情報は発信時点のもので、最新の状況と異なる場合があります。

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