難治性血液がんのウイルス陽性「もう来ないでください」「相談に乗れません」 かかりつけ医も保健所からも拒否 沖縄出身女性、関東で経験

 難治性の血液がん「成人T細胞白血病(ATL)」などの原因となるウイルス「HTLV-1」は、感染者が少ない地域では医療従事者でも認知度が低く、病気の判明遅れや無理解による差別・偏見の解消などが課題だ。陽性が判明しても相談する場が少なく、不安に感じる家族からも戸惑いの声が多い。県外で受診を拒否された女性が本紙のインタビューに応じ「多くの人に病気のことを知ってもらいたい」と語った。(社会部・下里潤)

 「もう来ないでください」。県出身で関東在住の50代女性は、電話口で声を荒らげたかかりつけ医の受診拒否が忘れられない。

 3年前、「人の役に立ちたい」と息子が人生初の献血をした際、HTLV-1キャリアの可能性を指摘された。初めて聞いたウイルス。母子感染の可能性を聞かされ、罪悪感に襲われた。

 すぐにネットで検索したが、当時、詳しいサイトはない。保健所に相談すると「分からない病気だから相談に乗れません」の一点張り。かかりつけ医にも追い返され、検査すらしてもらえなかった。医療を受けてはいけない人と線引きされたようで、心が痛んだ。

 病院を訪ね歩き、やっとのことで専門医と出会えた。検査の結果、2人ともキャリアだと分かった。発病する可能性は低いと頭で分かっていても、ちょっとした体調不良で取り乱し、不安で夜も眠れない日もある。何より、息子の将来に大きな物を背負わせてしまったとの思いが大きい。身近な人に相談しようにも、差別や偏見を恐れて口にできないでいた。

 ポータルサイトを知り、救われる思いがした。古里で同じように苦しむ人が多いことを知る一方、感染者が少ない地域では情報不足などで医療従事者も対応方法が分からないのでは、と思うようになった。

 「キャリアだから不幸じゃない。多くの人に病気のことを知ってもらい、孤独に苦しむ人が一人でも減れば」と前を向いた。

 

(写図説明)県外で受診拒否された経験を話す県出身のHTLV-1キャリアの女性=沖縄タイムス社

県外で受診拒否された経験を話す県出身のHTLV-1キャリアの女性=沖縄タイムス社

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