旅の新たなデスティネーションとして注目される「サウジアラビア」ってどんな国?

2019年9月に日本を含む49カ国に観光ビザを解禁した「サウジアラビア」は、イスラム教発祥の地として有名。イスラム教の最大の聖地とされる「メッカ」があることでも知られています。また、長年引き継がれてきた習慣が今の時代に合わせて変化しつつあるのも魅力です。今回は、そんなサウジアラビアをクローズアップ。基本情報はもちろん、観光スポットや世界遺産、人気のスポーツなどをご紹介します。

サウジアラビアの基本情報

正式名称は「サウジアラビア王国」で、アラビア半島の5分の4を占め、北はヨルダン、イラク、クウェート、東はバーレーン、カタール、アラブ首長国連邦、南東はオマーン、南はイエメンと接しています。面積は215万平方キロメートルと、日本の約5.7倍の大きさですが、国土の大部分は砂漠です。

また国土は、ヒジャーズ、アシール、ネジド、ハサの四つの地域に区分され、3月中旬から6月中旬は、特に北部では肌寒く、夜間の気温は15℃を下回ることがあります。中央部と南部の地域は温暖で、日暮れ後の平均気温は約20℃です。

人口は3,534万人(2021年)で、アラブ人が暮らしています。公用語はアラビア語、宗教はイスラム教です。

サウジアラビアの国旗の中央には、アラビア文字で「アッラーのほかに神はなし、ムハンマドはアッラーの預言者なり」という『コーラン』の聖句が白で書かれています。さらに聖句の下に置かれた剣は、新月刀というアラブ民族のシンボルで、聖地メッカを命がけで守護するという意味が込められています。地色の緑は、イスラム教の聖なる色です。

国名は「サウド家のアラビア地方」という意味で、アラビアは「砂の民、遊牧を行う人」という意味になります。

サウジアラビアに行くには?

日本からサウジアラビアへは直行便が就航していません。行き帰り最低1カ所で乗り換える必要があります。日本から首都リヤドへ行く場合、アラブ首長国連邦のドバイやトルコのイスタンブールなどで乗り継ぎが可能です。

サウジアラビアに入国するためには、ビザが必要です。Eビザ(電子ビザ)を申請して取得すれば、発行日から1年間有効となり、最大90日間の滞在が可能になります。サウジアラビア到着時にセルフサービス機器(KIOSK)にて、アライバルビザの取得もできますので、詳しくはこちらをご覧ください。2023年9月現在、パスポート残存有効期限は、サウジアラビア入国日に6カ月以上が必要で、未使用査証欄は見開き2頁以上必要です。

ただし、単独で入場するには、18歳以上である必要があります。18歳未満の旅行者は、親、祖父母または成人の兄弟(18歳以上)が同伴する場合のみ入国できます。

サウジアラビアの最新の渡航情報について詳しくは下記をご覧ください。

在サウジアラビア日本大使館

海外安全ホームページ

新旧の魅力が混在! まるで砂漠のオアシスのような「リヤド」

アラビア半島のほぼ中央、ネジド台地の標高594mに位置する「リヤド」は、成長と繁栄を続けるサウジアラビアの首都です。

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リヤドで最も人気の高い観光スポットは、キングダムセンターの「スカイブリッジ」。地上300mの高さから、リヤドの街並みを見渡すことができます。同センターには、サウジアラビアで最も高いモスク「キング・アブドラ・モスク」も。地下にはフードコートがあり、さまざまな料理を味わうことができますよ。ショッピングモールで買い物も可能です。

2010年に世界遺産に登録されたトライフ地区を含む「ディルイーヤ遺跡」はリヤドで必見のスポット。リヤドの北西20kmに位置します。壮大な宮殿「サアド・ビン・サウード宮殿」のほか、政治や宗教上の拠点だった「サルワ宮殿」、「イマーム・モハンマド・ビン・サウード・モスク」といった見どころが盛りだくさんです。

リヤド の中心にそびえ立つ「マスマク城塞」も魅力的。旧市街にある城砦で、リヤドの実権を握っていたラシード家が拠点を置いていましたが、1902年にのちの初代国王イブン=サウード(アブドゥルアジズ)が奪還しました。現在は、歴史博物館として公開されています。

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さらに、サウジアラビア王国の創始者であるアブドゥルアズィーズ・イブン・サウード国王の命により、旧リヤドから2kmの場所につくられた「ムラッバ宮殿」も一度は訪れたいスポット。宮殿の中心にある中庭からすべての部屋を見渡せる独特なデザインが特徴です。

サウジアラビアの郷土料理で、茹でて砕いた小麦、玉ねぎ、米、肉、だし汁、パセリ、クミン、コリアンダーなどのスパイスで作られた「ジャレーシュ」、揚げたパンケーキのような「マタバク」、スパイスを効かせたラムシチューに似た「サリード」も忘れずに味わいたいですね。

リヤド

石油のハブと見なされている、穏やかなアラビア湾に面した「ダンマーム」

東部州の州都である「ダンマーム」は、サウジアラビアで6番目に人口の多い都市です。1938年に石油が発見されて以来、この都市は伝統的な沿岸の村から、最先端のインフラまで、近代的な設備を備えた現代的な大都市へと急速に発展しました。

ダンマームで人気の観光スポットは「ムルジャン島」です。この人工島は、コーラルアイランドとしても知られています。ボートツアー、釣り、動物園への訪問といったアクティビティがあり、充実した時間を過ごせますよ。風光明媚な遊歩道を歩くのもおすすめ。

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未来的な建築が目を引く「アブドゥルアズィーズ王世界文化センター」も外せないスポット。文化、学習、異文化活動に重点を置いて2017年につくられた博物館です。センター内には子ども博物館、図書館、映画館、劇場、展示ホール、自然史のための独立したギャラリーがあります。さらに、美術館のウェブサイトで登録できる季節のイベント、展示、ワークショップも開催しています。

加えて、「ダンマーム コーニッシュ」は、近隣都市の住人だけでなく、駐在員や観光客も訪れる場所。このエリアには、カフェ、レストラン、庭園などがあり、のんびりと過ごすことができます。ペルシャ湾に沈む夕日も一見の価値ありです。

また、フードトラックでは、伝統的な屋台の食べ物からファーストフードまで楽しむことができますよ。遊歩道沿いに設置されている地元のアーティストがつくった彫刻にも注目を!

リヤドからダンマームまでは、国内線で1時間10分です。

ダンマーム

ナバテア文明最大の規模を誇る「アル・ヒジュルの考古遺跡(マダイン・サーレハ)」

サウジアラビアには5つの世界遺産がありますが、ヨルダンのペトラ以南で、現存するナバテア文明最大の遺跡「アル・ヒジュルの考古遺跡(マダイン・サーレハ)」には、4つの大きな墓地があり、装飾が施された94もの墓石群のほか、神殿、用水路や貯水槽などの遺跡が良好な状態で保存されています。

アル・ヒジュルとは「岩だらけの場所」という意味です。いずれもナバテア人の建築技術と水利技術の高さを顕著に示すものとして、2008年に世界文化遺産に登録されました。

この遺跡は、紀元前1~後1世紀初めにかけて繁栄。かつてこの地にいた預言者サーレハにちなんで「サーレハの町(マダイン・サーレハ)」と呼ばれています。

さらに一帯では、ナバテア文明以前の碑文や岩絵も約50発見されており、これらは紀元前3~前2世紀頃にこの地に住んでいたリヤーン人のものであると考えられています。

アル・ヒジュルの考古遺跡(マダイン・サーレハ)

ほとんど残っていない紅海特有の建築が見られる「ジェッダ歴史地区:メッカへの玄関口」

サウジアラビア西部の港町ジェッダの歴史地区アル・バラドは「ジェッダ歴史地区:メッカへの玄関口」として2014年に世界文化遺産に登録されました。ジッダの由来には諸説がありますが、一説によれば、アラビア語で「おばあさん」を意味するjaddah(ジャッダ)から転じたものとされています。イブの墓があるという伝説も。

この歴史地区には、かつては紅海両岸地域に見られたものの、今ではほとんどサウジアラビアにしか残っていない紅海特有の建築が数多く残っています。「ローシャンタワー」と呼ばれる、19世紀後半の商人たちが建設した塔状家屋は、白塗りのサンゴ石の建物で、装飾された木製の窓や扉が特徴です。

メッカ

また、この町はメッカ巡礼の玄関口でもあり、世界中のイスラム教徒が集住しているほか、1年を通して巡礼者が絶えることはありません。この町を歩けば、巡礼の玄関口として栄えたジェッダの歴史をうかがい知ることができますよ。

ジェッダ歴史地区

サウジアラビアで人気のスポーツは?

キング・ファハド国際スタジアム ©️Volodymyr Dvornyk / Shutterstock.com

サウジアラビアで人気のスポーツは圧倒的にサッカーです。昨今は、クリスティアーノ・ロナウドやネイマールといった世界的に有名な選手が何人もサウジアラビアのチームに移籍し、話題になっています。

また、サウジアラビア・リヤドでは、2023年9月4日(月)〜17日(日)にウエイトリフティング世界選手権を開催。この大会はオリンピックイヤーを除き毎年開催されている重量挙げNo.1を決める世界大会で、オリンピック予選ランキングリストのためのポイントが付与されます。

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