運送業の倒産、3カ月連続で30件台を推移 燃料費高騰により経営は疲弊

2023年8月の道路貨物運送業倒産は、件数が30件(前年同月比30.4%増)で3カ月連続で前年同月を上回り、30件台の推移と増勢が続く。
負債総額は29億8,600万円(前年同月比70.5%減)で、2カ月ぶりに前年同月を下回った。負債50億円以上がゼロ(前年同月1件)、負債5億円以上10億円未満が1件(同2件)と負債額の大きい倒産が減少し、負債総額を押し下げた。

8月度の燃料費の高騰などによる「物価高」関連倒産は9件(前年同月10件)だった。1-8月累計では69件(前年同期43件)となり、前年の年間(1-12月)件数に並んだ。
資源エネルギー庁が発表する燃料費価格をみると、2022年以降は1リットルあたりレギュラー価格が170円前後、軽油価格が150円前後を推移し高止まり状況が続いていたが、2023年7月以降急騰し、8月末時点でレギュラー価格が185円、軽油価格が165円に達した。
政府は「燃料油価格激変緩和補助金」の延長を決定し、9月7日から補助金の拡充を行うが、主要産油国のサウジアラビアが年末まで自主減産の延長を発表したことで原油の供給不足が懸念されており、価格抑制効果がどの程度発揮されるかは不透明だ。

「物価高」倒産のほか、「人手不足」倒産も3件(前年同月ゼロ)と増勢が続き、運送業を取り巻く市場環境は厳しさを増している。過剰債務を抱えた企業体力の乏しい企業を中心に、倒産の増加ペースが加速することも懸念される。

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