富士山閉山…夏山シーズンが終わり見えてきた課題とは?(静岡県)

約2か月にわたった富士山の夏山シーズンが10日終了しました。インバウンドの回復などで登山者数は回復しましたが、多くの課題も見えてきました。

富士山世界文化遺産の構成資産の一つ、富士山本宮浅間大社で行われた閉山祭には、地元の観光関係者ら、約60人が参加しました。閉山祭では、宮司が祝詞を読み上げたあと参加者が玉串を奉納しました。

富士山の「世界文化遺産」登録から10年となる今シーズンは、新型コロナの5類移行やインバウンドの回復などもあり、登山者数が回復しました。

(富士山本宮浅間大社 堀江 昂佑 権禰宜)

「開山期間が終わりほっとしている。来年もあるので今から準備していきたい」

また、富士山頂にある奥宮の参拝者数も、コロナ禍前の水準に戻ったということです。2023年、世界遺産登録10年目の記念イヤーを迎えた富士山。御殿場市によりますと、御殿場口新5合目の登山者数は、8月27日時点で3万5000人あまりで、2022年より1万5000人以上増え、コロナ禍前の2019年を上回りました。登山者数が回復した一方で、多くの課題も見えてきました。

富士山の9合目で撮影された写真。暗闇の中、山小屋の外でスウェットなどを着込み、地面に寝転んでいます。別の写真には、山の斜面で仮眠をとる人の姿も。山小屋に宿泊せず、一気に山頂を目指す「弾丸登山」が相次いだほか、ごみを放置するなど登山者のマナー違反も明らかとなりました。こうした事態をうけ、県が検討を進めているのが「入山料の義務化」です。静岡と山梨両県は、2014年から登山者に対し、富士山の環境保全などに充てる「保全協力金」を、1人あたり1000円任意で徴収しています。これについて川勝知事は、今後、富士山の登山者が増え、安全管理に必要な経費も増えることを見据えて、義務化すべきとの考えを明らかにしました。

(川勝知事)

「義務化するのが義務だと思っている。国立公園なので、富士山の自然環境の保護は国民の義務。世界の共有財産に入っている、汚してはいけない、危険なことをしてはいけない、登山者の基本的なマナー」

県は2024年の夏山シーズンまでに、混雑した場合に登山規制を行うことや、入山料の義務化について方針を示す考えです。

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