地元の村人と決定的対立 スペインの小さな村に移住したフランス人夫婦 「理想郷」予告

昨年11月に開催された第35回東京国際映画祭で、最優秀作品賞にあたる東京グランプリ(東京都知事賞)のほか、最優秀監督賞、最優秀主演男優賞の主要3部門を獲得したスペイン・フランス合作映画「理想郷」の、日本版予告編が公開された。

予告編で映し出されるのは、スペインの山岳地帯ガリシア地方のある村に移住した、フランス人夫婦のアントワーヌとオルガが姿。緑豊かな自然を満喫し、ふたりが丹精込めて育てた有機トマトは地元の市場でも好評と、ふたりの仲むつまじい充実のスローライフの様子を捉えていく。しかしある日、アントワーヌは村の酒場で出くわした隣人のシャンに「ここは私の故郷だ」と告げるが、シャンはそれに対して真意のつかめない鼻息で応答するのみだった。

映像のトーンは一気に変わり、畑のトマトには何かが混入され、警察に相談をしても“ご近所トラブル”と取り合ってもらえない。「平和に暮らしたいだけ」と言う妻オルガのささやかな願いもむなしく、村をとりまく風力発電の誘致問題もからんだアントワーヌと村人との決定的な対立は、後戻りできないところまで加速していく。身の危険を感じたアントワーヌが証拠を押さえるためにビデオカメラで撮影しようとする姿や、暗闇の中で夫婦が乗る車の窓をシャンが無言で激しくたたき続ける様子なども捉えられている。

「理想郷」は、都会を離れて田舎で過ごすスローライフに夢を抱き、スペインの山岳地帯ガリシア地方の小さな村に移住したフランス人夫婦ふたりが主人公の心理スリラー。スペインで起こった実際の事件をベースに映画化された。“田舎と都会の対立”を題材に、人間の暗部に潜む独りよがりな思考、憎悪、凶暴性に迫った作品となっている。監督・脚本を務めたのは、「おもかげ」などのロドリゴ・ソロゴイェン。夫のアントワーヌを演じるのは、「ジュリアン」などのドゥニ・メノーシェ。妻オルガ役を、「私は確信する」などのマリナ・フォイスが務めている。

【作品情報】
理想郷
2023年11月3日(金・祝)よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、シネマート新宿ほか全国順次公開
配給:アンプラグド
© Arcadia Motion Pictures, S.L., Caballo Films, S.L., Cronos Entertainment, A.I.E,Le pacte S.A.S.

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