世界で3例目 熊本地震で地下の地層に50センチのずれ、同一地点で国内初確認 東北大などの布田川断層研究グループ

熊本地震で布田川断層が動いた痕跡を調べる東北大と熊本大の研究グループ。右奥が「トレンチ調査」のための溝=11日、益城町
東北大などの研究グループの掘削調査で、熊本地震での活動が確認された布田川断層=11日、益城町

 熊本地震を引き起こした布田川断層を調べている東北大と熊本大の研究グループが、1996年に活断層調査が実施された熊本県益城町福原の畑で掘削したところ、熊本地震で地下の地層が50センチ前後ずれていたことを11日までに確認した。グループによると、数千年~数万年間隔で動くとされる内陸部の活断層が大地震の前後で動いたことを実際に確認したのは世界で3例目、国内では初めて。

 熊本地震では、布田川断層の周辺で、あぜ道などの地表に50センチ前後のずれが確認されている。研究グループは布田川断層が地下で動いたことを確かめようと、阪神大震災後の96年に県が実施した布田川断層の調査と同じ場所で溝を掘り、地層のずれを調べる「トレンチ調査」(幅約7メートル、深さ約2・5メートル)を実施した。

 その結果、調査溝の壁や底などに延びる布田川断層の地表面近くで、水平方向に40~50センチのずれを見つけた。調査溝の底にある断層の真上には、前回調査で使われた踏み板が残っており30センチ程度横ずれしていた。

 研究グループによると、大地震の前後にトレンチ調査を実施し、地下の活断層の動きを確認したのは、米国とニュージーランドでの2例だけという。

 東北大災害科学国際研究所の遠田晋次教授(地質学)は「地下で活断層が動いたことを示す貴重な証拠だ。各地の活断層調査を続けることが、地震の長期予測の精度向上につながる」と評価している。

 16日午後1時から、現地で一般向け説明会を開く。定員30人。熊本大のくまもと水循環・減災研究教育センターのホームページで参加を受け付ける。(中原功一朗)

東北大などの研究グループの掘削調査で、熊本地震での活動が確認された布田川断層=11日、益城町

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