<南風>「後半勝負」の人生

 夏休みが終わり、新学期が始まっている小中高生も多いだろう。この時期は急激な生活リズムの変化により体調を崩したり、精神的ストレスで不登校になったりする生徒もいるようだ。

 自身の学校生活を振り返ってみたい。昔から興味のあることにはとことんこだわり、関心のないことには徹底的に無関心な性格。小学時代はとにかくリコーダーが好きで朝から晩まで吹いて遊んでいた。小学校の同級生に私のことを尋ねれば全員が「リコーダー人間」と答えるに違いない。

 中学校では割と真面目に勉強するようになったが、当時、豊見城の中学校は校則で男子生徒に丸刈りを課しており囚人同然の扱いに納得できず、よく先生方と激しくぶつかった。校則は在校中に改正されたが、深刻な人権侵害だったと今でも思っている。理不尽なことに抵抗した時期だった。

 高校では自由な校風の下でサッカーとゲームに明け暮れた。はやりの音楽やファッションには全く興味がなく、老け顔で声も低かったからか、同級生の女子には「あなたの人生は後半勝負。前半は耐えるのよ」といわれていた。

 不真面目な高校生活の代償として1年の浪人を経験し地元の大学に入学したのだが、そこで中国語との運命的な出合いがあった。あまりの楽しさに「人生の中心に中国語を据えよう」と心に決め、中国との関わりをライフワークにして現在に至っている。

 人生は長く、世界は広い。学校生活は時間的にも空間的にも、そのうちの一コマに過ぎないのだから、負担に感じている人がいるのであれば、まずは心と身体のことを第一に考えればいい。少なくとも私は順調だったわけではない学校生活を経て、大学でようやく夢中になれるものに巡り合うことができた。今は「後半勝負」に向け「ハーフタイム」を楽しんでいる。

(泉川友樹、日本国際貿易促進協会業務部長)

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