兵庫県庁を解体、跡地を緑地化 7年間で130億円 県が見込み発表、県教委は24年秋移転

解体工事のスケジュールが示された兵庫県庁1、2号館(左から)。3号館(右奥)のみ耐震基準を満たしている=神戸市中央区下山手通5

 兵庫県は12日、耐震強度が不足している県庁1、2号館の解体や移転先となる周辺施設の改修に向け、設計費など2億5100万円を盛り込んだ一般会計補正予算案を発表した。解体工事は2026年度に着工する。跡地は29年度中に緑地化を終える予定で、県は一連の事業費として7年間で130億円程度を見込んでいることも明らかにした。

 県によると、1、2号館で働く職員は、耐震性能を満たす隣の3号館や周辺の生田庁舎、県公館などに分散させる。1、2号館の各部局は25年度中に移転する計画で、3号館に入る県教育委員会は24年秋に旧神戸市水道局東部センター(同市東灘区)へ、監査委員や人事委員会などの事務局は県立総合衛生学院中山手分校(同市中央区)に移る。

 最終的な事業費約130億円のうち、解体費は概算で67億1千万円。他に緑地化整備に4億7千万円、3号館や生田庁舎の改修、システムの移転などに57億4千万円を見込む。今回の補正予算案には、同じく耐震強度が不足している西館や別館の解体設計費も含まれており、20日開会の県議会定例会に提出する。

 県は現在、在宅勤務などで職員の出勤率を4割に引き下げる取り組みを生田庁舎で実施している。1、2号館解体後の新庁舎建設については、その結果を踏まえて検討する。跡地に整備する緑地は、暫定利用と位置付ける。

 県によると、1、2号館は築50年以上が経過し、詳細な耐震診断により、ともに阪神・淡路大震災級の直下型地震が起きれば倒壊の恐れがあると分かっている。井戸敏三・前知事が双方を集約する形で県庁を再整備する計画を打ち出したが、700億円程度の費用が見込まれ、斎藤元彦知事が就任後に撤回した経緯がある。(田中陽一)

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