肺に達する傷、強い殺意か 白山のホテル女性刺殺 防犯カメラに片町歩く姿

  ●県警が家宅捜索、容疑者送検 

 11日未明に白山市平松町のホテルで女性が刺殺された事件で、女性には肺に達する深い傷があったことが12日、捜査関係者への取材で分かった。胸や首の傷が致命傷になったとみられ、石川県警は殺人の疑いで逮捕した中村信之容疑者(54)が強い殺意を持っていたとみて調べている。県警は同日午前、白山市内の容疑者宅を家宅捜索した。

 捜査関係者によると、女性は首や胸など10カ所近くを刺され、肺に達する深い傷のほかにも、浅い傷が数カ所確認された。白山署は女性が福岡県出身で金沢市に住む23歳とみて、詳しい死因と身元の特定を進めている。白山署は12日午後、容疑者を送検した。

 金沢市片町1丁目の防犯カメラには、事件発覚から約40分後の午前2時15分ごろ、容疑者が赤いリュックサックを背負い、片町スクランブル交差点付近を歩いたり座り込んだりする様子が写っていたことが分かった。

 その後、片町2丁目のカメラでも女性に声を掛ける容疑者の姿が確認された。県警は容疑者が白山市のホテルから約10キロ離れた片町へ自転車で向かった後、周辺をうろついていたとみている。中村容疑者の所持金は数千円だったことも判明した。

 事件は11日午前1時33分ごろ、ホテルの従業員から「女性が客室で血を流して倒れている」と110番通報があった。県警はホテルの防犯カメラから、逃げた男を中村容疑者と特定し、午前7時45分ごろ、捜査員が片町2丁目の路上で容疑者を見つけた。正当な理由なく刃渡り19センチの包丁を所持していたことから銃刀法違反容疑で現行犯逮捕し、殺人容疑で再逮捕した。

  ●ホテルに1時間

 中村容疑者はカメラ映像から、11日午前0時20分から同1時半ごろまでの1時間余り、ホテルに滞在したとみられる。調べに対し、「弁解することは何もなく、殺意はあった」と容疑を認めている。

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