Benthamがこれから始まっていく、その一歩目が『FASTMUSIC CARNIVAL』
──まず、『FASTMUSIC CARNIVAL』をやろうと思ったきっかけから教えてください。
須田原生（G）：事務所を抜けて僕らだけでやっていくと決めて、関係者の方などにその報告でご連絡をした直後に新宿ロフトの樋口さんから“元気にしてる？”っていう連絡がありまして。それがすごく嬉しかったし、新宿ロフトに思い入れのあるメンバーもいるし、過去これまでにBenthamとして新宿ロフトでの素敵な企画にも呼んでいただいたのもある中で、“Bentham主催のフェスってやったことがないね、自分たちでやってみたいね”という話が出てきて。それでフェスをやるんだったら絶対に新宿ロフトでやりたいな、という流れでした。
──ライブハウスから“元気にしてる？”という連絡はありがたいものでしたよね。
鈴木敬（Dr）：独立してからは本当に、定期的に連絡をいただくようになって。でも新宿ロフトに出させてもらっているこの1年ぐらいなんですけど、受け身でいるとあまり良くないなと感じてはいたんです。なのでロフトでライブに出させてもらっているうちに、自分たちでもイベントをやりたい、って思うようになっていった感じです。
オゼキタツヤ（Vo）：ロフトは今の自分たちにとって、本当にとても大切なライブハウスになってきていて。そんな新宿ロフトに対しての信頼と、僕らにしかできないことや呼べないバンドと一緒に、自分たちの一発目のイベントはやっぱりロフトでやりたいなと。
辻怜次（B）：僕にとって新宿ロフトは、スピッツとかがすごく好きなのでもともとずっと憧れのライブハウスだったんですね。昔から“新宿ロフトに出たい！”と思ってバンド活動をやり続けてきたし、フェスを新宿ロフトでやろうっていう流れになったときにとても嬉しくてとにかく“やろう！”って感じで、ものすごく良いご縁をいただけたと思っています。
──辻さんにとっては憧れだったという新宿ロフト、他にはどんなイメージがあります？
須田：僕らにとって決して（キャパシティとして）小さいハコではないけれど、でも良い意味ですごく小さく感じるんです。スタッフの方も親切だったり、出番前に裏でスタンバイしてるときとか楽屋の感じも含めて他にはないし、どこにも喩えられないライブハウスですね。バーのほうのステージもすごく特殊ですし、バーとホールを（出演者が）行き来する間にどちらのステージの出演者が使って良いのか分からないようなスペースがあったりとか（一同笑）、だから初めて対バンするバンドと一緒でも自然とコミュニケーションが取れるハコでもありますね。
鈴木：でも正直、Benthamの前のバンドで初めてロフトに出たときは“怖ぇな”って思いました（笑）。やっぱり歌舞伎町だし（笑）、他のライブハウスと比べて尖ってるような人たちも出てますし。そんな怖いと思ってた場所ですけど、（Benthamとして）何年か出させてもらうようになって、最近はホームに感じるようにもなっていて。僕は新宿ロフトのマスク（補足：コロナ禍中に発売されたグッズ）もちゃんと買いました！
──新宿ロフトへの愛も伺ったところで、今回の『FASTMUSIC CARNIVAL』についてはオゼキさんがこんなメッセージを寄せていますね。“僕らのこの先にある大きな野望の種を10月29日新宿LOFTにて蒔きたいと思います。4人だけになって右も左も分からなくて不安になってたけど見渡したらたくさんの仲間や貴方が居ました。長く続いてチャレンジできるイベントにしていきたいし、いずれは多摩川でやるんだ（一部引用）”と。
須田：もともと、僕らの結成が多摩川沿いなんです。僕ら昔、例えば“いつか武道館でやりたい”とか、そういう明確なものがなかったんです。でも何か明確なものがあったほうが良いよねって話をしたときがあって、話した結果として“多摩川で何かをする”だったんですよね。
辻：オゼはBenthamのことを“多摩川叙情系ロックバンド”って言ってるからね（一同笑）。
オゼキ：メンバー誰も叙情系出身ではないけどね（笑）。
鈴木：このワード、新しすぎてまだ公には言ってないです（笑）。
辻：でもオゼはいつか、地元に還元できるようなことを何かやりたいねという話は実際にしていて。
オゼキ：うん。『FASTMUSIC CARNIVAL』から、僕らの地元として多摩川に繋げたいところは本当に考えてはいるんですよね。多摩川でライブの開催とかはおそらく前例もないし、（現実的には）チョー厳しいと思うんですけど、それぐらいのことができるようになるようなことを、したいなと思ってますね。
鈴木：その一歩目が、お世話になっている新宿ロフトからということです！
──繋げていきましょう！ 遡って、『FASTMUSIC CARNIVAL』をやろうと実際に動き始めたのはいつ頃でしょうか？
須田：今年の1月とかだと思います。
鈴木：それで2月末に、皆でロフトに行って最初の打ち合わせをしました。
須田：だから今回の出演バンドで、一番最初に声をかけたバンドは1月にオファーしてました（笑）。もう今から、この1回だけじゃ終われないなっていう感じがしてるんですよね。今回出られないバンドもいるし、知ってはいるけどまだ意外に仲良くなれてなくてこれからバンドを続けていくうちに知り合えるバンドもメチャメチャいるはずなので。これからの出会いをどんどん巻き込んで絶対に2回目・3回目…と、続けていかなくちゃと思っています。
音楽でお客さんを沸かせられるバンドばかりが出演します！
──先に紹介したオゼキさんのメッセージには続きがあって、“Benthamがやるイベントだから多分一癖も二癖もある日になると思うよ”とありますね。
オゼキ：今回、初めてこういう催し事をするので“ありがとう・これからもよろしく”っていう意味合いもあるし、全く縁がない（出演）バンドはいないんじゃないかな。それでいて（今回の出演者と）シーンが被ってなかった部分もあったりするので、お互いのファンの方が新しく何か、違うシーンの音楽との出会いも楽しんでくれたらというのがありますね。
須田：癖を出さないつもりでも出ちゃうと思うんですよ（笑）。バンドとしても曲作りとかにしても、“直球を投げようとしてもクセが出ちゃうのがウチらっぽさだよね”と話したことがあって。これまで10何年の間、対バンも様々でジャンルレスだったりするし、この日の出演者も癖が出るんじゃないかなと思ってますね。
鈴木：でも今回、自分たち4人で準備を進める中でメチャクチャ大変さを感じてて、癖を削ぎ落としているところもあります（笑）。出演者への声かけも4人で手分けしたり進捗状況の管理をしながら、普段のライブよりも大変さを痛感してますね。
辻：スタッフさんやマネージャーさんだったりバックに事務所がある、それはメチャクチャありがたいことなんだなと気づく機会にもなってますね。でもコロナ禍でもバンドを止めずに今、コロナ禍が明けてきてライブの状況も明るい兆しが見える中で“一緒にやりませんか？”と声をかけられる友達やバンドがいることが、ものすごくありがたいことでもあるなとも感じてました。
オゼキ：他のイベントと出演者が被ってもしょうがないし、この1回目から素敵なバンドが揃ってますね。その上で来てくださる方に喜んでもらえることと、そもそも“何でイベントをやるんだろう”と考えたとき、僕らの中でのスタンダードというものを、その一歩目をまず新宿ロフトから作れたら、という気持ちが強くなって。DJを入れてみようとかお笑い芸人がいたり、装飾にこだわってみようとか配信もしようとかもいろいろと考えたんですけど、それは第一歩目の次・今後に繋げられるようにというテンション感でいますね。それで今回はシンプルに音楽でお客さんを沸かせられるバンドに出てもらおうという考えにシフトしていきました。まずは今の自分たちでどこまでの出演者が集まってくれるのか、そしてこれから一緒に歩んでいけるバンドというのを、ちゃんと自分たちで確認したかったところがあるかもしれないです。
──今後の出演者発表も楽しみに待ちましょう。では改めて、『FASTMUSIC CARNIVAL』に向けた思いをお1人ずつ聞かせてください！
須田：メンバー4人が汗だくで大変な日になると思うんですが、イベント自体を自分自身も楽しんでやりたいと思ってます。ツアーに出たりいろんな場所でライブをしていても、自分の足が疲れても見たいバンドは絶対に見て、その後に自分の出番が回ってくるほうがパフォーマンスも気持ちも含めて良いものになっている気がしていて。お客さんにもそれは絶対に伝わるはずだし、今回のラインナップを見ても自分がそうなるであろうというのは目に見えてる（笑）ので。自分たちのライブがどうなってるかは想像つかないですけど、ライブのときまで笑顔を絶やさずやり通す1日にしたいというのが個人的にはあるし、集まる皆にも楽しんでもらって、自然と笑顔になる人が少しでも増えたら嬉しいなと思ってます。おそらく出演する全バンドが好きというお客さんはいないはずなので、新たな発見も含めて楽しんでもらえるイベントにできたらと思っております。
オゼキ：この日は入りも早いし、朝活だね！（一同笑）
鈴木：今、（須田の話を聞きながら）出演者リストを見てるんですけど、コロナがあって声をかけられなくなったバンドもいるし、逆に復活してきたバンドとか、実はこのイベントで復活するバンドもいたりしまして。コロナの中で知り合ったバンドもいるし、なかなか思うようにできなかった活動がやっとできるようになってきた、それを仲間と確かめ合ってまたこの日から始めていけるように、出演者も楽しい日にしたいなと思ってます。それで終わった後は美味しい酒を飲めるような日にします。この日、機材車は置いて帰りましょう！（一同、笑いながら頷く）
辻：仲間のバンドが出演者かもしれないけど、でもライブ自体は負けたくない。これだけいろんなバンドが出てくれるし、“やっぱりアイツらすげーな！”とか“Benthamカッコいいな！”ってお互いに思えるような熱いライブをこの日は絶対にやりたいと思ってるし、そうじゃないとせっかくのイベントの意味が薄れてしまうので、濃くて熱い気持ちを出演バンド同士お互いにぶつけ合えたらなと思ってます。
オゼキ：僕は今、この4人でバンドがやりたい。それに尽きるんです。僕が思うバンド像や良しと思うバンドはもういなくなってしまって、気づいたら僕もそうはなれないことに気づいた…んですが、1人じゃないと。このメンバーもいるし、ファンの方もいる中で自分たちの理想を作り上げていくことや、単純に楽しいことをしようよっていう中でちゃんと情熱を燃やすというのが僕の中でのテーマで。情熱を燃やして生きたい、そう思ったときに新宿ロフトも一緒になってもらってこういう日を作ることができる。7月に「and」という曲を配信リリースしたんですけど、“Benthamってちゃんと活動してんの？ 解散するんじゃない？”みたいな空気感を、この曲をリリースすることで皆に安心＝安堵してもらいたい、っていうのがあったんです。今回の新宿ロフトでのイベントで、安堵して欲しいところから次は“もう1回俺たちに期待しろ！”っていう気持ちを見せたいところが強くあります。これからちゃんとやっていくから、ちゃんとバンドとしてのBenthamを見てくれ…カッコ良いし絶対に裏切らないから、これからを期待してね！ っていう日です。それは出演してくれるバンドにも絶対に反映されてるし、予算が潤沢でもなければ何か変わったことができる日じゃないけど、この日から始める。それが新宿ロフトからというところに意義があるし、こんなにたくさんのバンドが集まってくれるということに意味がある。僕が今思っている“バンド”というものを実現させる日なので、とにかくいろんな人に見に来て欲しい。それだけです。
