ソニー、「BURANO」発表。少人数撮影に最適なデジタルシネマカメラ登場

ソニーは、デジタルシネマカメラ「BURANO」を2024年春に発売する。希望小売価格はオープン。市場実勢価格は以下の通り。

  • BURANO:税込430万円前後
  • グリップリモコン「GP-VR100」:税込24万円前後
  • CFexpress Type B メモリカード CEB-G1920T(1920GB):税込36万円前後
  • CFexpress Type B メモリカード CEB-G960T(960GB):税込19万円前後

ソニーデジタルシネマカメラの最上位機種には、チームで撮影を行う「VENICE 2」やワンマンオペレーションをターゲットとした「FX9」をラインナップしているが、「BURANO」はVENICE 2とFX9の間の位置づけだという。VENICE譲りの画質や操作性、コンパクト、高機動力を重視したモデルとしている。

小型軽量な筐体。VENICE2比約33%軽量化(約2.9kg)

BURANOは、高画質を維持しながらも、軽量コンパクト化を実現し、小型筐体にもかかわらず光学式ボディ内手ブレ補正や電子式可変NDフィルターなどの先進機能を搭載。VENICE譲りの8.6Kフルフレームイメージセンサーを搭載し、高品質な映像表現を可能としている。

VENICE(手前)とBURANO(奥)の大きさ比較。BURANOは大幅な小型化を実現している

BURANOは、様々な先進機能を搭載している。その1つ目は、PLマウントカメラとして初めてボディ内手ブレ補正を搭載。αで培ってきた手ブレ補正の機能を、CineAlta最上位クラスにも搭載し、PLレンズでも手ブレ補正を実現している。

PLマウントカメラとしてボディ内手ブレ補正搭載

もう1つの特徴は電子式可変NDフィルターの内蔵と、手ブレ補正の同時搭載。Cinema Lineでは、可変NDフィルターや手ブレ補正搭載カメラを発売してきたが、この2つを同一機種で実現したカメラはこれまで存在しなかった。センサーの手ブレ補正を吸収しつつ、短いフランジバックの中に可変NDフィルターを内蔵するのは技術的に困難で実現できなかったという。しかしBURANOでは、新開発の薄型NDフィルターを使用することによって、2つの技術を1台のカメラに実現できたという。

BURANOは、ファストハイブリッドAF(コントラストAF+位相差検出AF)やAIを用いた被写体認識AFに対応。Eマウント使用時には、狙いたい被写体をモニター上でタッチするだけでピント合わせが可能。用途に合わせて、マニュアルフォーカスやオートフォーカスを活かせる機動性を盛り込んだカメラを実現している。

画面タッチによる設定変更、AF操作可能

また、CineAlta、VENICE譲りの映像品質を実現。8.6Kフルフレームセンサーを搭載し、16ストップの広大なラチチュードにより、幅広い輝度条件下でハイライトから暗部まで豊かな階調を表現することが可能としている。

VENICEと同様に、明るい場面と暗い場面で2種類の基準感度の使い分けができる独自のデュアル・ベースISO機能を搭載。基準感度ISO 800/3200と高感度に対応する。

レンズマウントは標準でPLマウントを搭載。PLマウント部を取り外すことによりEマウントを使用可能。Eマウントによりスチル系のレンズを使用することができ、超広角レンズなど様々な個性を持ったレンズを使用することも可能としている。

カラーサイエンスは、VENICE 2と同等の機能を実現。VENICEと組み合わせた場合は、発色の表現、ルックは一致しているという。また、VENICEは初代モデルから「s709」のLUTを搭載してフィルムカラーに似たイメージが大変好評であったが、そこに加えてBURANOでは新開発の「Warm」「Cool」「Vintage」「Teal and Orenge」の4種類を搭載する。

BURANOは、高品質な映像を収録する3種類のコーデックを搭載する。ソニー独自の圧縮RAWフォーマット「X-OCN LT」、8K記録に対応した新しいビデオフォーマット「XAVC H」、4K、HD記録ビデオフォーマットの「XAVC」などに対応する。

■8K記録対応の「XAVC H」(HEVC/H.265)

  • AllIntra 4:2:2 10bit記録 最大12000bps@29.97PのHi Qualityモード「XAVI H-I HQ」
  • AllIntra 4:2:2 10bit記録 最大800bps@29.97PのMid Qualityモード「XAVI H-I SQ」
  • Long GOP 4:2:2 10bit記録 最大520bps@29.97PのLight File Sizeモード「XAVI H-L」

ボディには、3.5型LCDモニターを付属。横面の操作面側に設定してアシスタントの操作画面としても使用可能。撮影スタイルに応じて動きを自由に変更が可能。さらに、覗き込む「ビューファインダー」スタイルとして使用可能になるファインダールーペが付属する。LCDモニターは、画面タッチ操作に対応しており、画面タッチによる設定の変更などから、タッチのオートフォーカス操作にも活用可能としている。

記録メディアは、CFexpress Type BのデュアルスロットとSDカードスロットを搭載。2基のリレー記録から、サイマル同時記録が可能。SDカードにはプロキシ記録が可能。

CFexpressType B メモリーカードのデュアルスロット搭載

別売品のグリップリモコン「GP-VR100」をボディと同時に発売する。FX9にもラインナップしていたが、BURANOのグリップリモコンはフルコントロールが可能で、ワンタッチでのアームの角度の変更などFX9から進化している。こちらも本体と同じ2024年春頃発売を予定している。

グリップからフルコントロール可能。ワンタッチでアーム角度を調整

メモリーカードは、CFexpress Type B対応で、ソニー純正では128GBから250GBをラインナップするが、それに加えて1920GBや960GBの高容量モデルを発売する。大容量に加えて、VPC400認証に対応。BURANOのような高速のアクセスが必要なシネマカメラに対しても、きちんとスピードを担保できるモデルとしている。カメラ本体と同じ2024年春発売予定としている。

BURANOは、発売以降も進化を予定している。ファームウェアロードマップによると、2024年夏頃にはバージョン1.1を予定している。主な追加予定機能はS700プロトコルのソニー製業務用カメラのリモートコントロールへの対応。アナモフィックレンズの1.5倍のスクイーズも追加される。

さらに時期は未定だが、今後のファームアップで、4:3アスペクトのメジャーモードの追加、アナモフィックの1.8倍、HDMI出力時のOSDの表示のレイアウトの改善を予定としている。

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