藤原喜明がアントニオ猪木さん銅像にダメ出し「もう少しアゴが出ていた」師匠の一周忌法要で懐かしむ

昨年10月1日に79歳で死去した元プロレスラーで、参院議員も務めたアントニオ猪木(本名・猪木寛至)さんの一周忌法要が12日、神奈川県横浜市の曹洞宗大本山總持寺で執り行われた。猪木さんのブロンズ像が猪木家墓前に完成し、除幕式が一緒に行われた。

猪木さんの愛弟子だった藤原喜明は「猪木さんが亡くなって1年。早いと思います」と語り、ブロンズ像には「僕はずっと本物を見ていたので、似ているけどちょっと違うなと。でも上出来だと思います。全体的に雰囲気は出ていますけど、もう少し絶壁だったな、もう少しアゴが出ていたな、もうちょっと首が太かったなとかね。総合的には上出来ですので、作者の方にはおわび申し上げます」と冗談交じりに語った。

ブロンズ像はマフラータオルを首にかけ、両手を腰に胸を張った猪木さんの上半身がデザインされ、厳しくも温かみのある表情が描かれた。顔が40代、体は30代をイメージ。新日本プロレスのオカダ・カズチカをモチーフにした像を起点に肉付けしていったという。

師匠とは約50年の付き合いだった。「すごく純粋で、だまされやすくて正直で。鶴見で生まれた少年がそのまま大きくなったようだった。短気なところもあって、そうはいくか、というものがあった。30歳ちょっとで何十億もの借金をして、モハメド・アリと戦ってね。あれはマネできないなあ。失敗したら、というのを考えなかった。すごいというか、無謀というか、そこが猪木さんの魅力だったと思う」と語った。

後年は猪木さんから六本木への呼び出しを度々受けたという。

「電話がかかってきて『あと1時間で来い』と。無理ですよ。家に帰ってシャワーを浴びて、着替えて、タクシーを呼んで行くんですから、と答えても『1時間で来い』だった。急いで時間通りに着いたら『もっとゆっくりいんだよ。気を利かせろ、ばか野郎』と言ってニヤッと笑うんですよ。ちゃめっ気がありましたね。最後は必ずテキーラを飲むんですよ。どっぷりついで、『お前らみんなテキーラだ』と言ってね。なんだオレも敵なのかと思いましたよ」

笑顔で猪木さん晩年の思い出を語った藤原組長。「寂しいね」「自分もすぐ行きますので。待っててください」「大スターだったから大変だったと思う。女も口説けないというか、口説いてましたね、しっかり。安らかにお眠りください」などと語り、猪木さんへの思いは尽きない様子だった。

法要、除幕式には親族に、新日本プロレスのオカダ・カズチカ、棚橋弘至、ノアの潮崎豪、全日本の諏訪魔、ほかに小川直也、藤田和之、藤原喜明、Sareeeらプロレス関係者を加えて120人が参列。銅像のサイズ(高さ1メートル10センチ、前幅1メートル5センチ、奥行44センチ、頭部の高さ33センチ、重量135キロ)は生前の偉業、その包容力を表現するため、実際より10%程大きい。通常の85パーセントに対して95パーセントの銅分(燐青銅)で構成された。台座は赤御影石と白御影石で製作された。プロレス界では東京大田区の池上本門寺の力道山像に並ぶモニュメントとなりそうだ。

(よろず~ニュース・山本 鋼平)

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