パタゴニアはなぜ食品販売を?「当時は分かってもらえなかった」

アウトドアウェアで知られる「パタゴニア」(代表:ジェナ・ジョンソン)が、「食品」も手がけていたことをご存知だろうか? 日本では2016年から食品コレクション「パタゴニア プロビジョンズ」をスタートし、この8月からは『Eating is Activism(食べることで、社会を変える)』キャンペーンも開始した同ブランド。その狙いは何なのか? 話を訊いた。

環境を修復する商品を販売する「パタゴニア プロビジョンズ」のディレクター・近藤勝宏さん(11日・京都市内)

■ サバの缶詰やフリーズドライのスープなど、個性豊かな商品たち

ホットスモークサーモン「ワイルド・ソッカイ・サーモン」(1700円)を筆頭に、アンチョビやサバの缶詰にフリーズドライのスープ、最近では酒蔵とタッグを組んで日本酒も製造するなど、その幅は少しずつ広がっており、9月11日には「パタゴニア 京都」(京都市下京区)で、その取り組みに関するトークセッションがおこなわれた。

「パタゴニア 京都」(京都市下京区)に並ぶ「パタゴニア プロビジョンズ」の商品

同イベントは、「パタゴニア プロビジョンズ」の食品を扱う生協組合「コープ自然派」(本社:兵庫県神戸市)の主催によりおこなわれたもので、日本、特に関西圏ではまだまだ馴染みのない「オーガニック」への理解に対して「興味を持って知ろうとする努力」が問われた。

■ 「5〜6年の間に認知されてきたという感覚はある」

イベント後の取材で、「パタゴニア プロビジョンズ」でディレクターをつとめる近藤勝宏さんに話を訊くと、「(食品販売を)始めたときと、世のなかが変わってきている感じはありますね。6年前は『実は食は環境問題の解決策になる』と言っても分かってもらえなかったんです。社員も含めて『なんで食なの?』って」と、当時を振りかえる。

「コープ自然派」が主催したトークセッション(11日・京都市内)

「でも次第に『温室効果ガスの発生源は、約4分の1が食や農業から来ているんだよ』といった話などが科学的に明らかになっていって、食を変えることで社会を変えるということが、この5〜6年の間に認知されてきたという感覚はありますね」と、語る近藤さん。「まぁ、でも今でも(斬り込んでいくのは)大変ですけどね」と笑みを浮かべる。

長年アウトドアというフィールドで、自然環境と対峙してきた「パタゴニア」。同ブランドだからこそ生み出せる商品やイベントなど、今後も注目していきたい。

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