花粉症対策を加速化 伐採や植え替え 林政審が新計画案答申

林野庁の林政審議会は12日、森林整備や保全の目標と具体策を示す、新たな「全国森林計画」の案を取りまとめ、野村哲郎農相に答申した。花粉症対策に関する政府の方針を踏まえ、「花粉症発生源対策の加速化」を打ち出した。杉人工林の伐採や植え替えの促進、花粉の少ない苗木を増やすことなどを掲げた。

計画は、都道府県が森林関連施策の方向や、伐採・造林の目標などを定める際の指針となる。10月に現行計画の策定から5年を迎えることから、見直しを進めてきた。新たな計画案は、2024年度から15年間が対象。10月ごろに閣議決定する。

政府は5月、花粉症に関する関係閣僚会議で、30年後に花粉発生量の半減を目指すなど、健康被害を抑えるための対策を示した。計画案は、この対策を踏まえた。

具体的には、花粉の発生源対策の加速化を図るため、無花粉や少花粉苗木の植栽、広葉樹の導入などに努めるとした。

その他、木材の加工・販売業者らに合法に伐採されたものかの確認を義務付ける改正クリーンウッド法が4月に成立したことを踏まえ、合法性を確認した木材の取り扱い数量の増加も盛り込んだ。

計画案では、木材生産に適した育成単層林(人工林)の伐採を進め、38年度末に現状比で3%減の980万ヘクタールにする目標を掲げた。一方で、樹齢や樹種の異なる木々を人為的に混ぜ、土砂災害の防止や水を蓄える機能などに優れた育成複層林は同56%増やし、173万ヘクタールにするとした。

© 株式会社日本農業新聞