コーセー、不要になった化粧品バルクをアップサイクルしたヘアアクセサリーを制作

コーセーは9月11日、サステナビリティ活動に関するメディア向けセミナーを開催。同社のサステナビリティ戦略やエシカルなアプローチによる商品デザインについて説明するとともに、不要になった化粧品バルクをアップサイクルしたヘアアクセサリーの制作を紹介した。

コーセーは1991年のCI導入時から、企業メッセージ「美しい知恵 人へ、地球へ。」を提示。30年以上前から、サステナビリティに通じるメッセージを掲げて企業活動を展開してきた。2020年には、2030年に向けたサステナビリティ戦略と目標をまとめた「コーセーサステナビリティプラン」を策定。「サステナビリティは今後の成長に欠かせない大きな要素となっている」(コーセー経営企画部サステナビリティ戦略室の河野斉治室長)。

具体的な取り組みの一つが、アダプタブルな商品・サービスの提供だ。例えば、新生児から大人まで幅広い世代で使える保湿ミルク「雪肌精 クリアウェルネス モイストリペア ミルク」や、グローバルに対応した40色展開のリキッドファンデーション「DECORTÉ ゼン ウェア フルイド」は、年齢や性別、国籍などあらゆるバックボーンの生活者に適応している。

美しく健康的で幸せな生活をサポートするため、スキンケアや多様性尊重・自己表現の啓発活動も実施。ジェンダーギャップを解消するための社会貢献として「コスメデコルテ パープルリボンプロジェクト」、事業地域の環境保全の一つとして「雪肌精 SAVE the BLUEプロジェクト」なども展開している。8月には、サステナビリティを自分ゴト化するため、サステナビリティについて学ぶ「サステナイト」を社内で開催した。今後も「美」を通した貢献で、社会、環境、事業の持続的発展と成長につなげていきたい考えだ。

商品デザインにおいても、エシカルなアプローチに取り組んでいる。その象徴事例が「ADDICTION」のアップサイクルしたコンパクトケースだ。リサイクル材は、バージン材に比べて透明性や色が劣って見えたり、リサイクル材であることが説明しないと伝わらないといった難点がある。それを逆にポテンシャルとして転換することで、「目を留めてしまう、いつもと違う“良い違和感”を出した」(コーセー商品デザイン部デザイン室の原田アンリ室長)。整えない、きれいを乱す、同じものをなくす製法がエシカル感の醸成につながっている。

今回新たに、プラスチック成形メーカーの本多プラス、化粧品から製造した絵具の販売やイベント事業を展開するモーンガータとともに、役目を終えた化粧品バルクと廃棄プラスチックを活用したヘアアクセサリーを制作した。課題は、化粧品バルクならではの色彩を生かしたまま、高温のリサイクル樹脂に包み込んで表現すること。試作を繰り返して適正な温度管理や成形条件を見出し、一つひとつ異なる形、色合い、デザインのヘアアクセサリーが完成した。「バルクの入り方が色とりどりで、唯一無二のデザインに仕上がった。サステナビリティの取り組みを身近に感じていただきたい」(コーセー商品デザイン部デザイン室の中村かりん氏)。

このヘアアクセサリーは、キッザニア東京でコーセーが出展する「ビューティスタジオ」パビリオンの「ヘア&メイクアップアーティスト」体験で使用を開始。子どもたちにも資源循環の重要性を学んでもらう機会を創出する。

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