【経団連】 スイッチOTC医薬品候補の総審査期間の設定を要望/医療用より短い「1年より短く」

【2023.09.13配信】日本経済団体連合会(経団連)は9月12日、提言書「2023年度規制改革要望ー日本経済にダイナミズムを取り戻すー」をまとめ、公表した。この中で「スイッチOTC医薬品候補の総審査期間の設定」を要望している。医療用医薬品は1年、要指導・一般用医薬品は10か月の標準的事務処理期間を総審査期間として設定しているものの、スイッチOTC医薬品候補の総審査期間は示されていないことを提示。療用医薬品の標準的事務処理期間が1年であることを鑑みると、スイッチOTC医薬品候補等においては1年よりも短い期間とすることが妥当であるとしている。

該当の要望は以下の通り。

No. 55. スイッチOTC医薬品候補の総審査期間の設定

<要望内容・要望理由>
行政手続法第6条では、「行政庁は、申請がその事務所に到達してから当該申請に対する処分をするまでに通常要すべき標準的な期間を定めるよう努める」ことが定められている。1985年に厚生労働省は通知で、新医薬品の承認の予見可能性向上に向けて、医療用医薬品は1年、要指導・一般用医薬品は10か月の標準的事務処理期間を総審査期間として設定しているが、スイッチOTC医薬品候補の総審査期間は示されておらず、1985年以降見直しもされていない。
スイッチOTC医薬品候補の承認申請の過程では、医薬品医療機器総合機構(PMDA)で承認申請がされた品目であっても、その審査とは別に厚生労働省の実施する「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」で審議されることになっている。
他方で、本検討会議での審議時期や進行状況が示されておらず、審査が長期化し、企業における開発の予見可能性が高まらない。例えば、2018年以降にスイッチOTC医薬品として承認された医薬品10成分の総審査期間は10~102ヶ月であり、申請後に本検討会議に掲題、または、審査中に臨床試験等の実施を求められた4成分に限れば、37~102ヶ月であった。開発において他社との契約が必要な場合は、予見可能性の低さを理由に契約締結に支障が生じることがあり、開発上の大きな障害になっている。
そこで、医療用から要指導・一般用に転用する有効成分(スイッチOTC医薬品候補成分)等の標準的事務処理期間を総審査期間として設定することを求める。なお、医療用医薬品の標準的事務処理期間が1年であることを鑑みると、スイッチOTC医薬品候補等においては1年よりも短い期間とすることが妥当である。
これにより、予見可能性向上による企業の開発意欲の向上、審査の迅速化による承認品目数の増加、国民にとって新たな一般用医薬品の選択肢の増加によるセルフメディケーションへの意識醸成に寄与できる。

<根拠法令等>
行政手続法第6条
薬発第960号 厚生省薬務局長通知

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