31日通院治療、実際は…通院日数水増しし施術費詐取か、元柔道整復師の男ら逮捕 損保会社が被害相談

埼玉県警本部=さいたま市浦和区高砂

 交通事故の負傷者の通院日数を水増しし、損害保険会社から施術費をだまし取ったとして、埼玉県警交通捜査課と川越、武南署は12日、詐欺の疑いで、元柔道整復師で建築業の男(28)=川口市石神=と建築会社役員の男(37)=川口市安行出羽2丁目=を逮捕した。

 逮捕容疑は整骨院を開業していた元柔道整復師の男が交通事故で負傷したとして通院してきた建築会社役員の男と共謀し、昨年10月7日から11月29日までの間、31日通院して27万9200円相当の施術を受けたものとして、損害保険会社に自動車保険金を水増し請求。2回にわたり、保険会社から施術費名目で同金額を詐取した疑い。

 県警は共犯事件のため、認否を明らかにしていない。

 交通捜査課によると、昨年10月4日に草加市内で軽貨物を運転していた建築会社役員の男が普通乗用車に追突される物損事故が発生。建築会社役員の男は実際に整骨院を訪れたのは10月7日の1度のみで施術は受けておらず、元柔道整復師の男は31日の通院でマッサージや電気治療をしたことにして保険会社にうその申告をしていた。

 今年2月9日に保険会社の担当者が川越署を訪れ、「水増し請求したという匿名の通報を受けた」と被害相談。建築会社役員の男の通院状況を調べた結果、実際には行っていなかったことが判明した。

 2018年4月から今年1月にかけ、保険会社から元柔道整復師の男の口座に振り込まれた施術費と事故当事者四十数人へ支払われた慰謝料が合わせて約5千万円に上るという。

 県警は元柔道整復師の男が同様の手口で虚偽申告をしていた余罪があるとみていて、約5千万円の一部が水増し請求分に当たる可能性を視野に捜査する。

© 株式会社埼玉新聞社