「子どもパスポート」で自由に移動 佐世保の小6が「サミット」出場 世界平和実現のアイデア提案

スピーチで世界から格差をなくすための「子どもパスポート」を提案する洪君=東京都(洪君提供)

 佐世保市立広田小6年の洪(おおみず)琥珀君(11)が今夏、世界平和へのアイデアを提言する「子ども世界平和サミット」に出場した。サミットで発表できるのは、世界20カ国より寄せられた200件超の応募の中から選ばれた12人。洪君は、生まれた国や地域によって、教育や医療に格差があることに問題意識を持ち、自由に世界各国を行き来できる「子どもパスポート」を提案した。
 平和サミットは、平和をつくる子どもたちを育てる一般社団法人「ピースピースプロジェクト」が主催し、今年で4回目。平和とは何か、平和を実現するためにはどうすべきか、を主眼に置いた3分以内のスピーチ動画を10代の子どもたちから募集。「子ども代表」に選ばれた9カ国の12人が衆院第1議員会館で平和をつくるアイデアを紹介した。審査員は宇宙飛行士の野口聡一さんら5人が務めた。
 洪君の提案は、低出生体重児として生まれた自身の生い立ちが原点となっている。スピーチでは、日本は整った医療環境の下、小さく産まれても多くの子どもが元気に過ごすことができると説明し、「世界にはさまざまな格差があって『格差社会』とも言われ、子どもたちの生活や教育環境に大きな影響を与えている」と指摘した。
 洪君が提案する子どもパスポートは、誰でも持つことができ、希望する国や地域に自由に行くことを可能にするもの。「一つの国や地域だけでなく、世界全体で子どもたちの成長をサポートする。世界中が協力し合うことで、失われる大切な命も少なくなると思う」とした。
 洪君は「小学校最後の夏の思い出」として応募。世界中で格差があることはニュースなどで知っており、自分の生まれた時の状況と絡めて、平和とは何かを考え、スピーチ内容を練った。声の強弱や笑顔で話す練習なども繰り返し、サミットに臨んだ。最優秀の3人には選ばれなかったが「ピースフル賞」を受賞。洪君は「うれしかった」と話し、父の敬さん(42)は「スピーチを聞き、涙を流す人がいた。3分で人の気持ちをつかめる発表ができ、成長を感じた」とたたえた。

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