「ハート」型の出口 神秘的な鍾乳洞、人気上昇中 戦時中は住民の命を守る うるま市石川嘉手苅

 【うるま】うるま市石川嘉手苅にある、中部最大級の鍾乳洞「CAVE OKINAWA」(池原勇矢代表)が神秘的な観光スポット、歴史文化と平和学習の場として注目されている。

 全長約200メートルで空間の高さは最大約20メートル。数万年かけて形成された多様な鍾乳石が圧巻だ。洞窟中央広場でシンボルとなっているのが「紅白岩」。さらに「キラキラ岩」「黄金岩」などと命名された鍾乳石は、亜熱帯ならではの赤土の地層が生み出した岩で独特の魅力を放つ。

 水量も豊富で心地良い音が響く。キクガシラコウモリ、モクズガニなど希少生物も生息する。出口はハート型の形状で「ハートロック」と呼ばれ人気を呼んでいる。

 地元では「ぬちしぬじ(命を守った)ガマ」と呼ばれている。沖縄戦中、地元住民ら300人余が3カ月間避難し、1人の犠牲者も出なかったという。琉球王国時代には今帰仁城の王子が内乱でこの洞窟に逃げ込み、命が助かったとの歴史が伝わる。

 観光事業は池原代表(34)の父・政安さん(71)が20年前に手がけ、数年前に池原代表が本格的に照明設備や通路などを整備した。県内外で認知度が高まり、修学旅行生が年間3千~4千人ほど訪れ、ネットや口コミで知ったグループや家族連れが観光で足を運ぶようになった。うるま市と沖縄市が連携した「ぐるり歴旅」周遊観光プログラムにも名所として盛り込まれた。

 池原代表は「ライトアップされた幻想的な空間を満喫してほしい。命の尊さもしっかり伝え、観光産業に寄与したい」と話した。新たにカフェや観光土産など付帯施設の計画を進めている。年中無休。営業時間は午前9時~午後5時半。問い合わせは、電話098(964)4888。

 (岸本健通信員)

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