アントニオ猪木さん一周忌、坂口征二「馬場さんと一杯飲んでるんじゃない」還暦祝いの贈り物つけ偲ぶ

昨年10月1日に79歳で死去した元プロレスラーで、参院議員も務めたアントニオ猪木(本名・猪木寛至)さんの一周忌法要が12日、神奈川県横浜市の曹洞宗大本山總持寺で執り行われた。猪木さんのブロンズ像が猪木家墓前に完成し、除幕式も行われた。

1967年に日本プロレスでデビューして以来猪木さんとの盟友関係を続け、現在は新日本プロレスの相談役を務める坂口征二(81)が取材に対応。「偉い人が亡くなると、その人の価値が分かる。一周忌を迎えて昔を思い出します」と語る左手には、還暦祝いに猪木さんから送られたロレックスを巻いていた。「他にもあったロレックスは全部手放したけど、これだけは今でもつけています」と故人に思いを向けた。

「日プロ時代から選手、フロント、OBで一緒でしたけど、オレにはできないこと、他の人にはできないことをやるのがあの人。失敗も成功もした人でしたね。オレにとってはいい人でしたね。猪木さんありがとうございました、と言える人でした。成功は新日本をこれまで大きくして、格闘技戦、アリ戦を先駆者としてやって、プロレスを、新日本を引っ張った。柔道の木村政彦さんは『木村の前に木村なく、木村の後に木村なし』と言うけれど、『猪木の前に猪木なく、猪木の後に猪木なし』だよね」と語った。

ブロンズ像はマフラータオルを首にかけ、両手を腰に胸を張った猪木さんの上半身がデザインされ、厳しくも温かみのある表情が描かれた。顔が40代、体は30代をイメージ。新日本プロレスのオカダ・カズチカをモチーフにした像を起点に肉付けしていったという。「立派な銅像だったね。池上本願寺の力道山先生の銅像に匹敵、準ずるくらい」と目を細めた。

最後に「今頃?馬場さんと一杯飲んでるんじゃない。仲良くやっているんじゃない」と笑った坂口征二。改めて左腕のロレックスに目をやり「ロレックスも高くなったよな。いくつかあったけど、他は全部売ったよ」と豪快に笑って取材を締めくくった。

法要、除幕式には親族に、新日本プロレスのオカダ・カズチカ、棚橋弘至、ノアの潮崎豪、全日本の諏訪魔、ほかに小川直也、藤田和之、藤原喜明、Sareeeらプロレス関係者を含めて120人が参加した。銅像のサイズ(高さ1メートル10センチ、前幅1メートル5センチ、奥行44センチ、頭部の高さ33センチ、重量135キロ)は生前の偉業、その包容力を表現するため、実際より10%程大きいという。通常の85パーセントに対して95パーセントの銅分(燐青銅)で構成された。台座は赤御影石と白御影石で製作された。

(よろず~ニュース・山本 鋼平)

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