猛暑影響、稚魚ゴリ激減 犀川放流、1万匹→1600匹 金沢漁協「異常事態」

稚魚を放流する組合員=13日午前10時半、金沢市大桑町

  ●養殖池水温上昇で大半死ぬ

 金沢市の犀川で13日、カジカゴリの放流が行われ、金沢漁協の組合員が成長を願って1600匹を川へ放した。例年は8千匹から1万匹を放流するが、今年は猛暑の影響で養殖池の水温が上昇、多くが死んでしまい、5分の1ほどに激減した。同漁協関係者は「異常事態。金沢の食の伝統が途絶えてしまわないか心配だ」と話した。

 稚魚を育てている石川県内水面水産センター(加賀市)によると、厳しい暑さに伴って川の水温が上がり、川の水を引き込んでいるカジカゴリの養殖池にも影響が出た。センター担当者は「飼育適温である15~20度を上回り、稚魚が次々と死んでしまった」と話した。

 13日の午前中、犀川では金沢漁協の組合員14人が放流を行い、4月にふ化した体長約2センチの稚魚を大桑町の犀川橋と千日町の犀川新橋付近に放した。稚魚は3年以上かけて5センチほどに成長するという。

 カジカゴリは金沢の郷土料理として親しまれ、料亭では唐揚げや刺し身、ゴリ汁として提供される。金沢市の委託で2001年から放流を実施している金沢漁協によると、昭和40年代以降、河川工事や水質環境の変化の影響で生息数が激減したが、近年は増加傾向にあった。

 同漁協の八田伸一組合長(77)は「こんな時だからこそ、稚魚を放流して伝統を途絶えさせないようにしなけらばいけない」と話した。

カジカゴリの稚魚

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