「がんは学芸員」、週刊誌の記者に追われる・・・ 歴代の地方担当相

鳥取空港の展望デッキで名探偵コナンの装飾などを視察する片山さつき地方創生担当相(左)=2018年10月、鳥取市湖山町西4丁目

 首都圏在住の島根県出身者約400人が集い、10日に開かれた東京島根県人会の総会と懇親会。あいさつに立った坂根正弘会長(82)=コマツ顧問=が、こう力を込めた。「わたしが一番力を注いだのは地方創生だ」。

 政府の有識者会議で座長を務めた経験を踏まえ、「地方の国立大がもっと地元と密接に結びつき、産業で特色を出さないと駄目だと主張してきた」と続け、島根大の新学部発足を歓迎。今夏は熱中症を発症し、体調が万全ではないと明かしながらも信念の一端を語る姿に、地方創生への強い思いがにじんだ。

 13日に実施される内閣改造で任命される次期地方創生担当相に信念はあるだろうか。2014年に石破茂氏(衆院鳥取1区)が初代を務めた担当相はこれまで8人。約2年を務めた石破氏の後は1年前後で交代している。

 2代目以降は、「がんは学芸員」との不適切発言や不安定な国会答弁など、政策よりも閣僚としての資質が問われる人物が目立った。無許可で自身の広告看板設置などが明らかになった4代目の片山さつき参院議員は、18年に鳥取県内を視察した際、週刊誌の記者に追われていた。

 地方創生の取り組みはデジタル田園都市国家構想に引き継がれて、来年で10年を迎える。東京一極集中がいまだに続く中、次期担当相は敷かれたレールを進むのではなく、これまでの10年間を検証し、大胆な発想で将来展望を描いてほしい。

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