リビアの大洪水、死者5300人 被害「倍になる可能性も」

大洪水が襲ったリビア東部デルナを歩く人々=12日(Ali M. Bomhadi提供・ロイター=共同)

 【エルサレム共同】国家分裂状態のリビアを襲った大雨による大洪水で、被災地を統治する勢力のシクワート民間航空相は13日、東部デルナでの死者が5300人以上になったと明らかにした。ロイター通信が報じた。被害の全容は分かっておらず、シクワート氏は「倍になる可能性もある」とした。国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)は約1万人が行方不明としている。

 国際移住機関(IOM)はデルナで3万人以上が避難したと発表。アラブ紙アッシャルク・アルアウサトは12日、デルナで被害が拡大した背景に枯れ川の上流域にあるダム2基の決壊があり、統一政府の不在による管理不足が原因だと伝えた。救助活動は難航しており、内戦が被害を大きくしたとの見方が広がる。

 リビアは中東民主化運動「アラブの春」後の混乱で内戦状態に陥り、2020年の停戦後も、首都トリポリを拠点とする暫定政権と東部トブルクを拠点とする勢力が併存している。

 同紙によると、リビアには16基のダムがあり、多くは政情不安のため長期間使用されていない。

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