クアルタラロ、元F1エンジニアとともに開発された新エンジンをテストするも……。「もっと期待していた」/ミサノ公式テスト

 MotoGP第12戦サンマリノGPを終えた翌日の9月11日、ヤマハはミサノ公式テストで2024年に向けたエンジンを走らせた。しかし、ファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)にとって、それは満足のいくものではなかった。

 2023年シーズン、ヤマハはかねてからの課題であったエンジンパワーを向上させた。しかしおそらくそれが起因してバランスが崩れ、以前持っていた旋回性という強みさえも失い、トップスピードについても改善したとはいえドゥカティと同等というわけでもない、という状況である。

 ミサノでは新しいエンジンがテストされた。MotoGP.comのマッシモ・メレガリ氏(モンスターエナジー・ヤマハMotoGPチームマネージャー)へのインタビューによると、このエンジンはルカ・マルモリーニ氏とともに開発した最初のスペックであるという。ヤマハは2022年序盤、これまでにF1やMotoGPアプリリアでエンジン開発に携わったエンジンのスペシャリスト、マルモリーニ氏とのコラボレーションを開始している。

 しかし、おそらくは新しい知見が反映されたこのエンジンを走らせたクアルタラロのファーストインプレッションは、「フィーリングは……もっといいものを期待していた」というものだった。

「もっとテストが必要だ。フィーリングは(今のエンジンとは)違うものだった。でも、もっとパワーが上がっていることを期待していたんだ」

 さらにクアルタラロによれば、サーキットの路面グリップが高いときに、バイクがまったく変わってしまうことが問題だという。サーキットの状況に影響され、バイク自体の本当のポテンシャルが見極めづらいというのだ。

「(テストで)僕はだいたい20周したタイヤで、1分31秒4というタイムを出した。これは週末の僕の予選(Q1)で記録したタイムとほとんど同じだ。もちろん、ライバルたちはもっと速いけど、グリップが低いときと高いときのギャップが、僕たちよりもかなり小さいんだ。僕たちのペースはほぼ1秒、コンマ7、8秒上がる。でも彼らはそこまで(タイムの上がり方が)大きくない」

 クアルタラロは今回のテストで、2024年のマシンに対し決していい印象を持ったわけではなかった。しかし、最後に現状について問われたとき、こう答えている。

「Moto2から上がったとき、ヤマハは僕を信じてくれた」

「今年初めは、ちょっと傲慢だったと思う。もちろん僕たちは今、苦しい中にいるよ。でも、礼儀正しくいなければならないんだ。僕たちはどちらも(ヤマハも自分も)同じことを望んでいる。もちろん難しいけど、僕はもっと落ち着いていたいし、みんなともっといいコンビネーションを築けるようにしたいんだ」

ヤマハはミサノで、新エンジンと新エアロでテストを行っていた

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