イスに座るとき両足の裏をつけない人は体がゆがむ?年間6000人をケアする整骨院の院長が語った“背中の痛みの2大原因”

あさひ整骨院日本橋浜町院院長・柔道整復師・鍼灸師の今村匡子さん

ふとしたときに気になる背中の痛み。肩こりや腰痛に比べると悩む人は少ないが、痛みがあるときはつらいもの。ベストセラー『「やせたい」なんてひと言もいってないのにやせた1分ねじれ筋のばし』の著者である今村匡子さんは、肩の痛みを含むさまざまな痛みや不調を抱える患者さんと20年以上にわたり向き合い続けたことで、その場で痛みを軽くし、継続することで症状が出にくい体質に変えるセルフケア「こわばり筋ほぐし」の開発に至った。

その理論と実践法を1冊にまとめた『大丈夫なふりして生きてる人の体に効く こわばり筋ほぐし』の一部を再構築して紹介する。

肩こりや腰痛、股関節痛などとともに「そういえば背中も痛い」とおっしゃる方は意外と大勢いらっしゃいます。当院に通われる患者さんの半数以上がお悩みだったので、一般の方にも多い症状なのではないでしょうか。

私の20年以上にわたるキャリアで数万人の症例を確認したところ、背中の痛みの原因はおもに2つのタイプに分かれました。症状緩和に役立つコツも記したので、ぜひお試しくださいませ。

■体のねじれによる左右差から痛みが生じる

背中の痛みは左右のどちらか片側に生じることが多く、同じ姿勢を長時間続けていたり、じっとしていたりすると、さらに悪化します。反対に体を動かしていると痛みがラクになるという特徴が。胃の調子が悪くなっている人も大勢いらっしゃいました。見た目には、背中が亀の甲羅のように丸くなっていたり、体をねじって座っていたり、片側の肩を上げてショルダーバッグを持ったりするのが普通になっています。

原因は、普段から食卓やデスクなどで、体はつねに左右どちらかにねじって顔だけ正面を向くなど、同じ姿勢を続けて左右差が積み重なったこと。体(背骨)のねじれから背骨を支える背中の広背筋の片側だけが酷使され、こり固まってしまって痛みが出る、という流れです。

痛みが出ないようにするには、テレビやパソコンのモニターを体の真正面に置いたりイスの配置を変えたりして、左右差が生まれにくい環境をつくるのも手。片ひじだけよくつくクセのある人は両ひじをつくなど、左右差を減らすことを心がけましょう。イスに座るときに、足首を組んだりイスの座面下に足を入れたりして足の裏を床につけない人が多いですが、これを改善するだけでも骨盤はまっすぐになるので、体がねじれることも減るでしょう。

■歩くときに使うはずの筋肉が使えていない?

「歩いていると股関節がだんだん痛くなるけど、休憩すると痛みがやわらいで歩けるようになる」

長く歩くと痛むとしたら、旅行もショッピングも楽しめません。こういう症状を抱える人は、自分では脚を上げて歩いているつもりでも上がっていないという特徴が。じつは、すり足ぎみになりつまずきやすくなっています。当然走るのも困難ですし、脚が上がらないぶん、つま先を上げようとするので、足首を動かすすねの筋肉が張ってくることも。料理などの立ち仕事でも股関節に痛みが生じがちで、あまりひどくなると、太ももまで痛みが広がったり下肢がしびれたりします。

この痛みの原因は、前傾姿勢により太もも前面にある大腿直筋が縮んで使えなくなっていることにあり。本来、太ももを持ち上げるのは、太ももの大腿直筋やお腹の腸腰筋です。しかし大腿直筋が働かないので、代わりにお尻の外側にある中臀筋を酷使。だからこり固まって痛みが生じてしまうのです。股関節痛がある人はガニ股の傾向があり、つま先やひざが外向きになり、よけい中臀筋を使うようになります。

普段から正しい筋肉を使って歩くには、少しだけ上半身を反らすくらいがいいでしょう。歩行中、つま先が正面を向いているかの確認も大事です。

【PROFILE】

今村匡子(いまむら・きょうこ)
あさひ整骨院日本橋浜町院院長。柔道整復師、鍼灸師。

大阪府生まれ。陸上競技(中距離走)での怪我に苦しんだ中学生のときに体のメンテナンスに関心を持ち、さまざまなボディケアを学ぶように。高校在学中の17歳から整骨院での助手を始め、21歳より整骨院でのキャリアをスタート。高齢者の術後リハビリに勤しむなか痛みやこりを生じにくくする体の使い方を模索。28歳からはビジネスパーソンの姿勢改善や不調緩和を施術のメインとし、痛みやこりが消えるだけでなくやせると評判に。モデルやアスリートの顧客が増える。32歳からは女性の体形改善や後ケアに特化した現職に。自身の妊娠・出産経験を活かし、年間産後ケア人数は6000人を超える。

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