富山県魚津市の旧坪野鉱泉解体へ 「心霊スポット」として迷惑行為も

取り壊されることになった旧坪野鉱泉の廃屋=魚津市坪野

 富山県魚津市坪野の山あいに残る旧坪野鉱泉が解体撤去されることになり、現地で13日、工事安全祈願祭が行われた。国の補助金などを活用し、40年近く放置される廃屋を取り壊す計画。10月に本格的な工事を始め、来年9月をめどに完了する。

 旧坪野鉱泉は1980年代に廃業。8階建ての建物はガラスや壁が壊れて荒れ果て、心霊スポットとして知られるようになった。昨年公開のホラー映画「牛首村」の舞台としても注目を浴びた。

 一方、地元住民らは来訪者の夜間騒音や不法投棄などの迷惑行為に長年悩まされてきた。所有者の法人が解体を検討したが、多額な費用がネックになって放置され続けてきた。

 今回の解体撤去は、観光庁「地域一体となった観光地・観光産業の再生・高付加価値化事業」の補助金を前提に実現する。コロナ下で観光業の回復強化を図る事業で、魚津市が旧坪野鉱泉の解体撤去や宿泊施設の改修など16事業を盛り込んだ地域計画が採択された。

 今後、所有者が提出した申請の決定を経て、1億9650万円と見積もられている事業費の半額を国が負担。市と県が各6分の1を上乗せ補助する。

 建物の取り壊しは来春から行う予定。跡地の利活用は未定だが、富山湾を一望できるエリアだけに、市は「新たな観光地として再生するよう、所有者や地域と連携していきたい」としている。

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