イランの村で起きた“ある掟”にまつわる事件 2組のカップルに起きる想像を絶する運命『熊は、いない』

『熊は、いない』©2022_JP Production_all rights reserved

世界三大映画祭ほか主要映画祭にて高く評価され続け、イラン政府に映画制作を禁じられながらも、圧力に屈せず映画撮影を続けるジャファル・パナヒ監督の最新作『熊は、いない』が、9月15日(金)より公開。このたび、パナヒ監督自身が演じる主人公が、村の奇妙なしきたりを聞かされる場面を切り取った本編映像が解禁となった。

“熊”とは何か?その答えは映画の中にある

本作は、「第79回ヴェネチア国際映画祭」審査員特別賞を受賞した、イランの名匠ジャファル・パナヒ監督の最新作。リモートで極秘に映画撮影をする映画監督が、撮影で訪れていた小さな村で起きたあるトラブルに、監督自身が巻き込まれていくストーリー。パナヒ自らが映画監督役として主演をつとめ、監督を軸に迷信や圧力、社会的な力関係によって妨げられる2組のカップルに起きる想像を絶する運命を描いている。事実と虚構を織り交ぜ、規律が厳しいイランだからこその隠喩がそこかしこに散りばめられた、フィクションとノンフィクションのハイブリッド作品だ。

パナヒにしか解決できない、事件とは?

映像は、パナヒ監督演じる主人公が滞在している宿に村人たちが訪ねてくるシーン。村人のひとりが神妙な面持ちで「村の写真を撮っておられたかな?」と尋ねる場面から始まる。パナヒが写真を撮ったことをすぐに認めると、「実は厄介な問題になって、あんたにしか解決できん」とその村人は訴え、村に古くから伝わるという、ある“しきたり”をパナヒに聞かせる。それは、“女の赤ん坊のへその緒は、未来の夫を決めてから切る”という奇妙な風習。ゴザルという村の娘をめぐり、“へその緒の契”によって決められていた許嫁ヤグーブと恋人ソルドゥーズとの間で三角関係になっているのだという。

そこで、しきたりを破り、逢瀬を楽しむゴザルと恋人ソルドゥーズの証拠写真をパナヒが撮っているのではないかと村人たちは騒いでいるのだ。しきたりに縛られ、愛し合う恋人同士を別れさせようと必死な村人たちと、よくわからない風習に振り回される村の青年にまつわる話を、硬い表情で聞くパナヒ。

小さないざこざに思えるこの出来事が、パナヒを巻き込み大きな事件になっていく。最初は皆笑顔だったが、いつしか気まずい雰囲気が漂いだし、この先の展開が気になる場面だ。

『熊は、いない』は9月15日(金)より新宿武蔵野館ほか全国順次公開

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