高齢化率が兵庫県内トップの町で、唯一の携帯ショップが閉店… 町主催の講習会がキャンセル待ちの人気に

佐用町職員に教わりながらスマートフォンを操作する参加者=佐用町役場

 高齢化率が兵庫県内トップの兵庫県佐用町で、町主催の「スマートフォン(スマホ)講習会」が人気を集めている。6月末に町内唯一の携帯ショップが閉店したこともあり、1人暮らしの高齢者や高齢夫婦でにぎわう。月1回の講習会は9月で終了する予定だったが、町は「デジタルデバイド(情報格差)対策を進める必要がある」として10、11月にも追加で開催することを決めた。(真鍋 愛)

 「スマホの裏面を見てください。リンゴのマークがあれば、お持ちの機種はiPhone(アイフォーン)です」「アプリの追加は、スマホに機能を追加することを意味します」

 携帯会社のスタッフがリモートで、パソコンの画面越しに解説する。参加者は手元の資料を見ながら、自分のスマホを操作。文字の入力やネット検索などの実践では、町職員がほぼマンツーマンでサポートに入った。

 約1時間半の講習を終え、農業の男性(80)=佐用町=は「説明を聞いて多少は分かってきた。(カメラをかざすと翻訳機能などが使える)グーグルレンズは便利そうやな」とにっこり。一方、2年ほど前からスマホを使う女性(78)=同町=は「初心者向けと聞いていたけど、難しいなあ」と苦笑いし、「1回で覚えられるか…」と不安げな表情を浮かべた。

 講習会は町情報政策課が企画し、7月に始まった。月1回の開催で定員は先着10人。町職員がサポートに付くため、少人数にしているが、キャンセル待ちが出る人気という。

 同課によると、参加者は1人暮らしや夫婦だけで住む高齢者がほとんど。参加予約の電話では「スマホについて相談できる場所が近くにない」「子どもは近くに住んでいるが、いまさら簡単な操作を教えてもらうのは気が引ける」などの声が寄せられたという。

 同町では6月末、町内に唯一あった携帯販売店「ドコモショップ佐用店」が閉店。近隣の携帯ショップは町の中心地から車で25~40分かかる宍粟市や岡山県美作市の店舗になった。携帯各社はオンライン上で受講できるスマホ教室などを開催しているが、町の講習会参加者には「そもそもネットへの接続方法や検索方法が分からない」といった人も目立つ。

 2022年の総務省調査では、個人のスマホ保有率は77.3%に上り、80歳以上を除く全ての年代で、いわゆる「ガラケー」を上回る。町情報政策課の担当者は「国の方針もあり、行政サービスのオンライン化が進んでいる。情報格差が広がらないよう、町も対策を進めたい」と話している。

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