荷揚町小跡地の複合公共施設、完成イメージ公開 大分市、事業費は10億円増【大分県】

複合公共施設の完成イメージ図(大分市提供)
大分市の荷揚町小跡地に建設中の複合公共施設=13日

 【大分】大分市は13日、荷揚町小跡地に建設する複合公共施設の完成イメージ図を公開した。最終的な設計が完了し、周辺の公共施設や景観と調和する外観デザインなど施設像が固まった。一方、設計変更や資材高騰の影響で、総事業費は当初の想定より10億円近く膨らむ見通し。

 市によると、隣接するアートプラザ外部の床と色味を合わせたブロックを外構に取り入れるなど「一体的な景観」、歩行者エリア(敷地内通路)を設けるなど「安全な空間」の整備を図る。

 施設2階と市第2庁舎3階を上空で結ぶ連絡通路の設置を正式に決めた。技術的、法的に実現可能かを調査していた。

 施設内で市民向けスペースを集約した1階に、高齢者や子どものおむつ交換などに対応した「ユニバーサルシート」付き多機能トイレを設ける。市消防本部や災害対策本部室が入る5階は、迅速な情報共有や協議に向け、基本設計時にはなかった会議室を追加した。

 併設の立体駐車場(1~6階と屋上階)の駐車台数は321台と定めた。内訳は▽一般用 222台▽一般電気自動車(EV)充電用 8台▽公用車 81台▽公用EV充電用 4台―など。音声案内付きの身障者用駐車場を1階に2台、2~5階には1台ずつ設置する。

 建設工事は8月末までに1~6階の骨格が完成。内装も並行して進め、施設が徐々に姿を現しつつある。

 一方、設計や建設を担う事業者の調査で、建設地の地盤の軟弱性が判明。建物の強度を上げる必要が生じ、工事費が増した。資材高騰の影響もあり、総事業費は当初契約(約90億5千万円)から10億円近く増え、約100億円となる見込みという。市企画課は「予測が困難な部分だった」と説明。変更事業契約の締結へ事業者と協議を進める。

 今月13日の市議会総務常任委員会で、担当者が実施設計について説明。市議からは周辺道路の整備を要望する意見などが出た。

 市は来年4月の施設のオープンを前に、2月に立体駐車場を使用できるようにする。3月末には市民向け内覧会を予定している。市企画課は「多くの人に親しまれる場にしたい。安全第一で着実に工事を進める」と話した。

<メモ>

 大分市は2018年度に中心市街地公有地活用基本構想を策定。20年、複合公共施設の建設を発表した。7階建て(延べ床面積1万260平方メートル)で、低層階にコモンスペースや府内こどもルーム、高層階に県内の119番を一手に受ける消防指令センターなどが入る。テナント7区画分を持つ民間施設(2階)が併設。同施設の土地(市有地)の借地代として、市は23年7月からの3年間で約2200万円の収入を見込む。

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