世界標準の泥の層展示、賞数々 年縞博物館、福井・若狭

福井県年縞博物館で、約45メートルにわたって展示されている7万年分の水月湖の年縞と吉田昌弘館長=8月、福井県若狭町

 考古学や地質学で、年代測定の「世界標準のものさし」として重宝されている泥が、福井県の名勝・三方五湖の一つ、水月湖の湖底に堆積している。そんな貴重な泥の層を展示、解説するのが、2018年にオープンした福井県年縞博物館(若狭町)。展示テーマのユニークさや伝え方が評価され、これまで数々の賞を受賞している。

 水月湖の湖底では、季節ごとに異なる沈殿物が堆積することで、1年で黒色と白色の層が1層ずつ積み重なる。国内外の研究者や福井県は、年縞と呼ばれるその堆積物を、ボーリング調査で採取。1層ずつ数えてさかのぼり、層の年代を特定してきた。

 層に残っている放射性炭素の量を調べ、年代との「換算表」とし、年代測定の精度を飛躍的に高めた。国際会議で認められ、世界共通で使用されている換算表には、13年版から水月湖のデータが採用されているという。

 同館は、水月湖の年縞の価値を国内外にアピールしようと、18年9月に開館した。約45メートルにわたる7万年分の実物を展示。解説員も常駐し、来館者に分かりやすく説明している。

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