「こんなしびれる試合で」ついにアレへ大一番、先発才木の恩師がエール 神戸で少年野球、光った強肩

アレがかかった大一番の先発を控える阪神・才木浩人投手

 プロ野球セ・リーグで優勝へのマジックナンバーを1とした阪神タイガース。14日、大一番となる甲子園球場(兵庫県西宮市)での巨人戦で先発を担うのは、神戸市西区出身の大型右腕、才木浩人投手(24)だ。同区の出合小学校時代、枝吉パワーズで指導した元監督、会社員の根木康博さん(52)=明石市=は「こんなしびれる試合で登板できるのは幸せなこと。長いイニングを投げて勝利に結びつけてほしい」とエールを送る。

 才木投手は、小学1年の時に枝吉パワーズに入団。当時から手足が長く体格に恵まれ、主に捕手を務めた。「肩が強くて盗塁をバンバン刺していた」と根木さん。積極走塁をするライバルが目立つ中、その肩は対戦相手の脅威になっていたという。

 攻撃でも、持ち前の長打力で打線の中軸を担った。

 プレー時は真剣に取り組む一方、試合の行き帰りには選手たちの輪の中心になって話す姿も。「クラスの人気者タイプだった」

 王塚台中(神戸市西区)で途中から投手に転向。須磨翔風高(同市須磨区)で才能が開花し、プロ注目の存在にのし上がった。楽天の田中将大投手(伊丹市出身)と同様、捕手からの転向での成功について「何がどう転ぶかわからない。正直、当時はプロまで行くとは思わなかった。努力のたまもの」と根木さん。

 2016年、ドラフト3位で阪神入りが決まると、枝吉パワーズで同学年だった選手や保護者らが集まって祝福した。「かなり喜んでいて、やってやるぞという意気込みが伝わってきた」と振り返る。

 高卒2年目の18年に6勝をマークしたが、20年に右肘の手術を受け、育成契約を経て復活した。今季は先発ローテーションの一角として、16登板で自己最多の7勝(5敗)、防御率2.10の好成績を収めている。

 根木さんは「手術前後の時期は一番つらかったと思う。腐らずに頑張ったからこそ今がある。球団の期待に応え、首位快走に大きく貢献して本当にすごい」とたたえた。(井川朋宏)

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