レディース杯ゴルフ15日開幕 4年ぶり入場制限なし、120選手熱戦

「瀬戸内の女王」を懸けた熱い戦いが幕を開ける=昨年の大会から

 女子プロゴルフのステップアップツアー「山陽新聞レディースカップ」は15日から3日間、玉野市の東児が丘マリンヒルズGC(6334ヤード、パー72)で開催される。ツアー屈指の人気を誇る大会は14回目を迎え、4年ぶりに入場制限なしで実施。将来性豊かな新人から実績十分のベテランまで計120選手が、ファンの後押しを受けて「瀬戸内の女王」の座を争う。

【写真館】ここだけのショットがいっぱい

 プロは115人がエントリー。今季の賞金ランキングで首位を走る台湾出身のルーキー呉佳晏や2位の鬼頭さくら、前回いずれも2位に入った小林夢果、宮田成華、篠原まりあ、米ツアーを主戦場とするベテラン上原彩子(山陽高出)が名を連ねた。岡山ゆかりの選手は上原のほか、今季好調の成沢祐美、2020年大会を制した石川怜奈、アマチュアだった10年以来の出場となる東浩子の作陽学園高OG勢、昨秋のプロテストを突破した21歳の小林光希(津山市出身)らが参戦する。

 アマチュアは、トッププロ吉田優利の妹・鈴、青山ゆずゆ(理大付高2年)ら5人が出場する。

 若手の育成を目的としたステップアップツアーの今季第14戦。2日間36ホールストロークプレーの予選ラウンドを行い、60位タイまでが最終日の決勝ラウンドへ進む。賞金総額3千万円、優勝賞金540万円。上位2選手は姉妹提携トーナメントの「大王製紙エリエールレディスオープン」(11月16~19日・松山市)の出場権を得る。新型コロナウイルス禍で取りやめていたギャラリー向けのイベントや飲食ブースが復活する。

 多くのトッププロを輩出してきた大会。コロナ禍前の風景が戻る中、大勢の観衆の前で主役を演じ、飛躍のチャンスをつかむのは誰か―。

注目選手紹介

 山陽新聞レディースカップにはステップアップツアー優勝者や昨秋のプロテストで合格したルーキー、地元のアマチュアらが出場する。活躍が期待される選手を紹介する。

呉佳晏 台湾出身19歳 今季2勝 V候補筆頭

 あどけなさの残る台湾出身の19歳。ステップアップツアーの賞金ランキングを独走するルーキーは間違いなく優勝候補の筆頭だ。

 ここまで12試合で2勝。トップ10入りは実に9試合を数え、全て5位以内だ。「満足できる成績を出せている」と言うのもうなずける。アイアンショットの精度が高く、平均ストロークは70を切る69.97でトップ。パーオン率、パーセーブ率も1位につけるなど、そのプレーには隙がない。

 クラブを握ったのは4歳の時。レギュラーツアーで7度の賞金女王に輝いた同郷の涂阿玉に2年前に弟子入りし、一気に頭角を現した。慣れない日本で初めて訪れるゴルフ場ばかりだが「コースマネジメントをイメージするのが楽しい」と話すポジティブさで三つ目のタイトル奪取を狙う。

成沢祐美 作陽学園高出プロ2年目 第2の古里 恩返しを

 「そろそろ初優勝できそうな手応えがある」。昨季は1度しかなかったステップアップツアーの1桁順位は今季12戦で6度。プロ2年目の25歳に飛躍の予感が漂う。

 苦戦が続いた昨年のオフ、浮き彫りになった課題のアプローチやパットを猛練習。今季は平均飛距離240ヤードの自慢のドライバーと、正確性を増したショートゲームがかみ合ってきた。

 札幌市出身。11歳で競技を始め、作陽高(現作陽学園高)3年時の全国高校選手権で団体優勝。個人でも2位に入ったが、プロへの壁は厚かった。卒業後、津山市を拠点に夢を追い、6度目の挑戦でテストに合格した。

 「ここまで来られたのは周囲の温かい支えがあったからこそ。岡山で勝って恩返しを」。第2の古里で歓喜の瞬間は訪れるか。

小林光希 津山市出身21歳 地元で「プロ1勝へ」

 津山市出身の新人は、3月のステップアップツアー初戦で2位に入り、勢いに乗った。

 「いきなり優勝争いに加われたことで自信を持ってプレーできている」。アマチュア時代に個人で目立った成績を残せなかった21歳は、持ち味の正確なパットも支えにコンスタントに結果を出し、充実したルーキーイヤーを送っている。

 全国を転戦するのは今年が初めて。疲労から調子を落とした時期があったものの、試合間隔の空いた7、8月に心身をリフレッシュ。7月末のカストロールレディースで2位に食い込むなど状態は上向いてきた。

 「予選の2日間で好位置につけられるかが鍵」。昨年ベストアマチュア賞を獲得した地元の大会で目指すのはただ一つ、開幕前に掲げたプロ1年目での1勝だ。

活躍誓う岡山勢

青山ゆずゆ(理大付高2年) 山崎晴稀(井原・木之子中3年) 赤木理央(鬼ノ城GC)

 青山ゆずゆ(理大付高2年)、山崎晴稀(井原・木之子中3年)、赤木理央(鬼ノ城GC)は、岡山県内のアマチュア大会で山陽新聞レディースカップの出場権を獲得。プロを目指して腕を磨く3人は、初めて臨む地元の舞台を心待ちにする。

 県ジュニア選手権(8月)の高校生を制した青山は愛媛県出身。強豪の理大付高で力を付け、中国女子アマチュア選手権(4月)では準優勝した。安定感が光るショットが武器の17歳は「目標はベストアマチュア」と言い切る。

 競技歴3年余りの山崎は県ジュニアの中学生で頂点に立った。「攻めのゴルフでぶつかっていく」と抱負を語る14歳は正確なアイアンショットに加え、昨春から師事するプロコーチの下でドライバーの飛距離が大幅に伸び、成長著しい。

 県レディース選手権(5月)で3位に入り、初のプロツアー切符を得た赤木は22歳。大学を卒業した今春、倉敷市へ帰郷し、ゴルフ場でアルバイトしながら鍛錬に励む。「まずは予選突破を目指す」と得意のショートゲームで活路を見いだす。

賞金ランク上位争い白熱 残り10戦、レギュラーツアー出場権巡り

 昨季より6試合多い23試合が組まれたステップアップツアーは山陽新聞レディースカップを含めて残り10戦。賞金ランキング上位2人に与えられる来季前半のレギュラーツアー出場権を巡る争いは後半戦に入り、熱を帯びている。

 ランキング首位の呉佳晏は1717万円を獲得し、2位の鬼頭さくらに900万円以上の差をつける。一方、ツアー今季1勝と好調の10位吉本ここねと鬼頭との差は約150万円。今大会の優勝賞金は540万円とステップアップツアーでは2番目の高額だけに、今後の賞金ランキングにも大きな影響を与えそうだ。

大会日程

◆15、16日 予選ラウンド

 午前7時半 第1組スタート予定

 午後3時半 最終組ホールアウト予定

◆17日 決勝ラウンド

 午前8時  第1組スタート予定

 午後3時  最終組ホールアウト予定

 競技終了後、18番グリーンで表彰式

8番がスコアメークの鍵

 瀬戸内海を望む東児が丘マリンヒルズGCは、起伏に富んだ広いグリーンが特徴の難コースとして知られる。攻略には緻密なコースマネジメントとショット、パットの正確性が求められる。

 アウトは8番パー4がスコアメークの鍵となりそうだ。大小九つのバンカーが点在し、毎年多くの選手を苦しめてきた。インは打ち下ろしとなるコース最長553ヤードの18番パー5に注目。ここでスコアを伸ばせるかが上位進出のポイントになる。

 観戦エリアは、インの全9ホールとアウトの1、2、8、9番の計13ホール。

小林光希選手
成沢祐美選手
呉佳晏選手
(写真左から)青山ゆずゆ選手、山崎晴稀選手、赤木理央選手

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